外食産業、ホテル、フードビジネスなど、「食」関連に特化した広告代理店の株式会社F&Rセールスプロモート。代表取締役社長の藤井俊之氏は、昭和40年(1965年)に創刊された「週刊ホテルレストラン HOTERES」の創刊メンバーである。以来40年以上の長きに渡って外食産業を見続けてきた”歴史の証人”ともいえる藤井社長の協力のもと、外食産業の歴史を深掘りして行きたいと思う。
なお、藤井社長には別の機会にあらためて、外食企業に対するセールス・プロモーションについてご登場いただく予定である。
外食市場規模については、外食産業総合調査研究センターの速報によると、平成18年(2006年)の外食市場規模は24兆3592億円で、前年比99.8%と僅かながらマイナスになっている。これに中食などの料理品小売業の市場規模を加えた広義の外食産業市場規模で見ると同年は29兆9638億円で前年の100.2%となり、微増となっている。さらにこのデータを詳細に見ていくと「一般飲食店」の市場規模は12兆3355億円となり、前年の1.4%の増加となっている。
この内訳としては「食堂・レストラン」が 8兆7873億円(前年比1.8%増)、「そばうどん店」が1兆0601億円(同0.6%減)、「すし店」が1兆2946億円(同0.1%増)、焼肉や各国料理などが含まれる「その他の飲食店」が1兆1945億円(1.7%増)となっている。
給食分野については、3兆5831億円と前年比98.7%と落ち込んでいる。「学校給食」が4694億円(前年比0.4%減)、「事業所給食」が1兆8863億円(2.5%減)、「病院給食」が9722億円(0.4%減)、「保育所給食」が2552億円(2.4%減)と全体に市場縮小傾向にある。特に「事業所給食」は企業の経費見直し、福祉厚生サービスの変化などからここ数年縮小傾向にある。「料飲主体部門」の総計が5兆1077億円と前年比97.7%となっている。
外食企業各社の単価減、来客数減による売上減が続き、外食市場の縮小傾向が話題になっているが、今年に入っても、様々な商業施設の開発が相次ぎ、それらの施設に入る飲食店舗が注目を浴びている。客単価、来客数の増加傾向も見られ、市場にやや明るい兆しが見え始めている。しかし、長期的視野で見ると、少子化による市場の縮小は避けられない。さらに人口の高齢化社会を迎え、従来のメニュー、サービスシステムで良いのか、悩みは尽きない。
その対策としてM&Aの積極化を図る企業が増えてきている。外食企業は生き残りをかけ規模の拡大を図り、競争力を一層強化するか、又は、業種業態により一層特徴のある専門店化するなど、二極化が進むものと考える。 既存のファミリーレストランチェーン、ファーストフードチェーンの業種転換、店舗のスクラップ&ビルドが行われると考える外食企業各社は、既存店の売上減少が顕著になり、新規開業の店舗の売上で売上目標を維持している状態である。 株式公開が大きな負担になり、経営戦略・政策がスピーディに対応が出来なくなっていることもあげられる。例えば、「すかいらーく」がオーナー一族とファンドで企業買収いわゆる MBOを行い、上場廃止の上、経営改革に取り組み、再上場を考えている。
外食企業の巨大化・チェーン化により、セントラルキッチン、仕入の本部一括化、共同仕入、食材メーカーとの新商品の共同開発などで行ってきたコストダウンも限界に来ている。
また、お客の嗜好も多様化しているが外食企業の対応は遅れている。前述の通り、近年は、大型の商業施設の開発が相次でいる。「東京ミッドタウン」「ららぽーと豊洲」「ラゾーナ川崎プラザ」「丸ビル」「丸の内オゾア」などの大型商業施設では、それらの施設に入る飲食店舗が注目されているが、従来のチェーンレストランや居酒屋ではない特徴のある個店を入れている。
フランス料理も一時、イタリア料理などが幅をきかせることにより、超一流ホテルからフレンチレストランが消え、オーナシェフのフレンチレストランが気を吐いていたが、やっと、フランス料理が見直され始めている。食は 「 フランス料理にはじまりフランス料理に終わる 」 との格言もあるように 「 エスコフエ 」 の弟子の称号に敬意を表したい。
これからは、「 1企業1業種 」 のチェーン店から 「 1企業多業種 」 のいわゆる企業店になっていくのではないだろうか。そして、この企業店と、特徴ある個店の2極化が進むようになっていくと考える。どちらの店舗を選ぶのかは、結局お客様が選択することなのです。外食企業は、お客様の動向を敏感に察知して、それに対応が出来る店を出していくことが重要になっていくでしょう。
藤井 俊之
アパレル企業を経て、昭和40年(株)オータパブリケーションで、週刊ホテルレストラン(現)の創刊に携わる。その後、広告代理店の専務取締役を経て、昭和47年F&Rセールスプロモートを設立し、代表取締役就任。
現在は、社業の他、地元葛飾区で各種団体役員を務め、地域の活性化に力を入れる。
株式会社F&Rセールスプロモート
外食産業、ホテル、フードビジネスなど、「食」関連に特化した広告代理店。
「食」全般に渡り、お客様の効率的かつ効果的な販売促進をトータルにサポートしている。
文: 斉藤栄紀