お客さまに真の楽しさ・豊かさを提供しつづけるためのシステム作り ~ベンダー&コンサルタントに学ぶシステム構築の近未来~

お客さまに真の楽しさ・豊かさを提供しつづけるためのシステム作り ベンダー&コンサルタントに学ぶシステム構築の近未来

エプソン販売株式会社主催のビジネスセミナー「第9回店舗経営戦略フォーラム」において、「お客さまに真の楽しさ・豊かさを提供しつづけるためのシステム作りとは…」と題したパネルディスカッションが行われました。外食コンサルタントで当サイト論説主幹でもある坂尻高志氏をコーディネーターに、情報システムベンダー企業の皆様をパネリストに迎え、売上確保から客数増大につなげるシステム構築について掘り下げたディスカッションの内容をエプソン販売株式会社様のご協力により公開いたします。

第6回 最終回 まとめ:これからのシステム構築に求められるポイントとは?

齋藤
最後に今日のメインテーマである「お客さまに真の楽しさ、豊かさを提供しつづけるためのシステム作りとは…」に関して、皆さまのお考えをまとめていただきたいと思います。

飯島
先日あるセミナーで聞いて感銘した言葉をご紹介したいと思います。「お客様を喜ばせることができる飲食店で働いているという歓びを感じて仕事をしましょう」というものですが、まさにその通りだと思いました。これを自社に置き換えて、「来店されるお客さまと、それを経営されている外食企業様に喜んでいただけるシステム作りを喜びに感じながら開発できる会社でいたい」と考えていきたいと思います。

速水
来店されるお客様をハッピーにして、お店も私たちシステムベンダーもハッピーでいられるシステムを作りたいといつも思っています。「食」という文化を支えていけるシステムを作っていけば、みんなハッピーになれると思って仕事をしていきたいです。

宮川
舞台に例えると、私たちはあくまで皆さまの手助けをする裏方です。主役は、皆さまのお店に来てくださる方々。店により、演出するための道具や機材は変わってくると思いますが、お店に合致した演出でなければ、いい舞台にはなりません。システムも含めてお店を自画自賛するのは簡単ですが、やはり主役はお客様ですから、お客様を満足させていくための手助けを一緒にさせていただきたいと思っております。

桜井
先程ドラマの話をしましたが、本部と店舗の意識の乖離が一体感を持って進められるための ITであるべきだと思います。お店のスタッフは、来店されたお客様を向く時間をいかにたくさん作れるかということが課題です。すました笑顔で応対しながら、裏では白鳥の足のようにバタバタしているのかもしれませんが、その下支えをするのがITの一部かもしれないと思います。底辺を支えるご提案ができればいいと考えております。

坂尻
外食産業及びそれに関するビジネスをやっている人たちがお客様に売るものが何かを考えると、これは単純な話で「 QSC」なのです。つまり、いい品質のものとサービス、そして空間を売っているわけです。だから、原価300円のものを1000円で買ってくれているわけです。そうなってくると、お客様の本当の安心・安全は一体何かを考えてみると、もちろん情報武装も必要で、アレルゲンに対しての対応も大切ですが、それをやったからといってお客さんが増えるとは限りません。従業員のユニホームの汚れや調理された食器や店の汚さが目立ったり、サービスが悪ければ、いかにトレーサビリティーを主張しても無駄なことでしょう。お客様がお店を選ぶというのは、現場のそういうところが最終的な決め手になってくるのかなと思っています。

いまアメリカでファーストカジュアルみたいなものがブームになっています。多少お金を多く払ったとしても、美味しいものを短時間で食べたいという層に受けている業態ですが、これの基本はオープンキッチンです。食材から調味料、生産過程まですべてお客様に見せるということに対して、お客様も安心感を得る。現在は、カフェやファストフードで、キッチンが裏に引っ込んでいたり、手元が見えなかったりしただけで、我々顧客としては、そこに何かしらの不信感を持ってしまいます。いままでは、大したことなかった部分にも価値観を見出す時代になっています。

これからのITの使い方というのは、例えば、厨房機器との融合といったような本当の意味で安心感につながるものでなければいけないかもしれません。それから、物騒な時代だからこそ、深夜2時でも女性が一人で外食できるようなセキュリティー面での安心・安全が求められていると思います。ITの活かし方としては、そういう視点がもっともっと必要になるでしょう。お母さんが自分の子どもに対し、何の疑問も抵抗もなく料理を食べさせられる空間であることが、改めて大切になっているのではないかと感じます。そういう分野にITが入り込む時代になっているのです。

POSとオーダリングが外食店舗のシステムという既成概念をそろそろ壊すべきです。今日来場されている業界をリードする店舗の方々とITベンダーの方々が一緒になって革命を起こさないと、外食産業は中食や家庭内の食事に取って代わられて、おもしろくないものになってしまうという懸念を持っています。

齋藤
本日のパネリストの皆様と坂尻さんのお話をうかがって、これからのシステム構築には次のようなポイントが大切だと感じました。

  1. 企業内の情報システム構築は経営課題の実現を目的としたものであり、トップマネジメントの重要な課題である。当然のことだが、経営者や社長の ITに対する得手不得手に依存するものではない。
  2. システム構築の成功失敗は、明確な目的と投資対効果を明らかにすることにあり、目的と手段を履き違えないことが肝要となる。
  3. 低迷を続ける今こそ、お客様にとって何が必要かを考え、お客様を呼べる IT活用が急務である。外食産業の活性化はITの活用に掛かっているといっても過言ではない。

この3つを今回のディスカッションのまとめとさせていただきたいと思います。本日は誠にありがとうございました。



  1. 司会 齋藤栄紀 「外食ドットビズ」編集長
  2. コーディネーター 坂尻高志氏 外食コンサルタント
  3. パネリスト
    飯島真一郎氏 株式会社ブレーン・カンパニー 営業部マネージャー
    桜井謙一郎氏 クオリカ株式会社 ソリューション事業部 セールスマネージャー
    速水桃子氏 株式会社メディアミックス マーケティンググループ マネージャー
    宮川充氏 日本リテイルシステム株式会社 飲食営業担当 課長
ページのトップへ戻る