エプソン販売株式会社主催のビジネスセミナー「第9回店舗経営戦略フォーラム」において、「お客さまに真の楽しさ・豊かさを提供しつづけるためのシステム作りとは…」と題したパネルディスカッションが行われました。外食コンサルタントで当サイト論説主幹でもある坂尻高志氏をコーディネーターに、情報システムベンダー企業の皆様をパネリストに迎え、売上確保から客数増大につなげるシステム構築について掘り下げたディスカッションの内容をエプソン販売株式会社様のご協力により公開いたします。
齋藤●
それでは、最後のテーマに入ります。今日のメインテーマに近づいてくると思いますが、これからシステム構築をしていく上では、売上を確保し、客数を増大していくことが課題だと思います。
これに関して、パネリストの各企業の皆さまは、実際にサービスを展開していたり、計画されていたりするのでしょうか。また、計画まで行かずとも構想があるのかどうか、どのレベルでも構いませんのでお話をしていただきたいと思います。
飯島●
売上を確保して客数を増大させるシステムというのは、残念ながら、いま私の頭の中には顧客管理以外思い付きません。 One to Oneマーケティングなど基本的なことですが、ニーズにあったプロモーションをタイムリーに行うということが重要であると考えます。
昨今は、顧客を特定するメディアが新しくなってきたり、新しい概念が生まれたり、いろいろな会社のタイアップといったものも見受けられます。電子マネーの発達もそうですが、こういった相乗りといったメディアを顧客管理のメディアとして使っていければいいのではないでしょうか。
皆さんご存知だと思いますが、グルメぴあが加盟飲食店向けのポイントカードを始めるといったことや、ぐるなびが日本郵政公社と連携して販促をサポートしていくといった新しいスキームが登場しようとしています。こういうスキームに乗り遅れず、POSとの連携がタイムリーにできるような仕組みを提供していきたいと考えております。
桜井●
お酒をよく飲みに行くのですが、呼び出しボタンがなく、従業員が来てくれなくてオーダーができないという経験がよくあります。今の時代、客の立場としては呼び出しボタンがあっても違和感がないですが、お店側が雰囲気に合わないと導入していないように感じたことがあります。
私一人だけがそう思っているのならいいですが、売り手側が考える雰囲気と食べる側の思いがマッチしていない恐れもあるかもしれません。決して新しい仕組みではないですが、お客様に喜ばれるサービスとなるツールが、まだ身の回りにあるように思います。
これも居酒屋での体験談ですが、大変応対の悪い従業員がいまして、追加オーダーを頼む気になれなかったことがあります。私が不機嫌になったことは、おそらく POSでは分からないでしょう。夢かもしれませんが、システムでそういうことに対応できないのかなと考えています。
ドラマなどで犯人を捕まえるときに、現場の捜査官と本部にいる捜査官が、衛星画像やイヤホンマイクを使ってリアルタイムで現状を把握して指示を出し合うというシーンがあります。これをレストランでうまく使えないのかなと想像したこともあります。「あそこのお客さんが不満顔だから行け」と本部から指示が出る。お店の方は嫌になるかもしれませんが…。
すごいところは、本部と現場が一体になっている仕組みです。だから衛星を飛ばしましょうという話ではないですが(笑)、ITが発達してこのような仕組みがレストランにできたら、不慣れなスタッフしかいないときも外部から指示ができて、お客さんが気持ち良く追加オーダーできるかもしれません。非現実的ですが、こういった意味合いのご支援ができないか考えていきたいと思います。
宮川●
桜井さんのお考えが実現すれば、革新的なことですね。これまでに、革新的に飲食店を変えたのは、やはりオーダリングシステムだと思います。いまは手入力ですが、それが音声入力になるというのは実現可能かと思います。
私としては、来店されたお客様を楽しませることをシステム化していきたいと考えています。例えば、インド料理を食べていたら周りの景色がインドになってしまうとか、メニューブックを指差すと立体画像と匂いまで出てくるなどです。メニューブックではなく、 ICにより説明文が出るという仕組みがありますが、そういったものをうまく利用して、もっとお客様に楽しんでもらうシステムができればいいかなと思います。
速水●
この年で告白するのは恥ずかしいですが、「どうぶつの森」というゲームが大好きで遊んでいるのですが、最近その映画が製作されました。映画の前売りチケットを買うと、ゲーム世界の中でスペシャルアイテムがもらえるという仕掛けになっているんです。これをレストランに取り込むことで集客できるのではないかと考えたことがあります。あるレストラングループに行くと育成ゲームのキャラが成長して、特別な物がもらえるといった新しいイベントが起こる。ちょっとあざとい感じはしますが、売上アップやリピートの促進につながるかもしれません。
それから、システムとは関係ない話かもしれませんが、自分がレストランに行くのを躊躇するのは、やっぱり太るということです。なるべくヘルシーなものをと考えてしまいます。食べると痩せていくレストランがあれば大繁盛するでしょうが…。実現手段がまったく分からないので意味がない発言かもしれませんが、そういった切口からもシステムを考えてみたいと思います。
齋藤●
ありがとうございました。実現可能なもの、まったく不可能そうなものが出てきましたが、これについては、今後も外食企業とシステムベンダーがちゃんと対話をして作りあげることが必要であると思います。