エプソン販売株式会社主催のビジネスセミナー「第9回店舗経営戦略フォーラム」において、「お客さまに真の楽しさ・豊かさを提供しつづけるためのシステム作りとは…」と題したパネルディスカッションが行われました。外食コンサルタントで当サイト論説主幹でもある坂尻高志氏をコーディネーターに、情報システムベンダー企業の皆様をパネリストに迎え、売上確保から客数増大につなげるシステム構築について掘り下げたディスカッションの内容をエプソン販売株式会社様のご協力により公開いたします。
齋藤(司会)●
本日のテーマは「お客さまに真の楽しさ、豊かさを提供しつづけるためのシステム作りとは…」ですが、一般的に「お店に来られるお客様」と「企業の情報システム」は、かけ離れた位置に存在すると思われる傾向があります。まずは、情報システムの位置付けについて、坂尻さんにお話をうかがいたいと思います。
坂尻(コーディネーター)●
情報システム構築の目的を確認しておく必要があります。私は、システムの目的は「企業の健全な成長の実現」であると思っています。情報システムは、ハードウエアを導入することでも、技術論に終始することでもありません。経営課題実現のために、いかに ITを使いこなすかということであり、これにはトップの積極的な参画が必須です。
“ITは苦手”“パソコンの得意な担当に任せている”といった消極的姿勢では必ず失敗します。ITベンダー側も、“お客様の言う通りに”“お客様のために”という姿勢を改めないと、コスト増や責任転嫁の構造に陥ります。ユーザーとしっかり熱い議論をしてください。
IT化の課題や目標、期待する投資対効果を確認し、それに向かってユーザーとベンダーがお互いの役割を遂行することが必要です。下請ではなく、真のビジネスパートナーとしての機能を果たしてください。
システム化の目的が「経営課題の実現」であるなら、今の経営課題は何でしょうか。つまり、チェーン化を目的とした「情報インフラの整備」の時代があり、その後に訪れたバブル崩壊によって、「コスト削減のための情報システムの活用」の時代が90年代に訪れました。外食の情報システムが大きな発展を遂げたのはこの時期です。
しかし、「売上の拡大」よりも「コスト削減によって利益を確保する」といった流れが主流になったために、外食産業自体が弱体化してきたことは否めません。97年をピークに、外食市場規模は減少し続けています。反面、ITによりライフスタイルやビジネススタイルは大きく変貌しています。今こそ、過去の成功・成長要因を捨て、お客様を呼び戻す、売上増や客数増を目的としたIT活用の時代が来たと言えるのではないでしょうか。今日は、外食産業におけるITの新たな活用について、皆様と議論をしていきたいと思います。
齋藤●
今日は、坂尻さんのお話の中にもありました「外食企業にとってシステム化する意義」「システム構築をシステムベンダー任せにする問題点」「システムで売上を確保する仕組み」という 3点に絞って、話を進めていきたいと思います。
まずは、パネリストの皆様の会社の紹介をしていただきたいと思います。
速水●
弊社は、外食産業様向けの本部システムを作っており、トータルパッケージや POSシステムの仕組みも作っています。本部システムも作っていく過程で、売上をリアルタイムで把握したいという要望、マスターの設定を簡単にしてほしいといった要望を踏まえて「LinuxPos」を開発したのです。
基本的には、システム化のためのシステムではなく、システムを使っていただくことによって、事務処理作業を削減していただき、店長さんをはじめ本来の業務に立ち返っていただけるような時間を作る仕組みをご提案していきたいと思っています。
桜井●
私どもは、 POSレジのソフト開発から参入致しました。最初は、POSによる店舗オペレーションの簡素化などを中心にしていましたが、食材や従業員管理などの店長業務、本部業務の重要性についてのお話をお客さまからうかがい、そういうところまで業務支援システムとして作っていこうと事業を拡充してきております。
ここ数年は、売上を維持していく、運用していく部分についてもサポートしていけるようなサービスも初めており、操作の代行やサーバーを見る管理業務を代行するといった販売以降のところも含めて一元でご支援をさせていただこうと考えております。
飯島●
弊社は、飲食店システムに特化して、POSのアプリケーションとASP(Application Service Provider)を提供しております。オリジナル商品の「Active Brain」は、ウィンドウズOSをベースに開発しておりますので、容易にカスタマイズできますし、新機種への移植もスムーズに行えるようになっております。
店舗業務はいろいろありますが、発注・返品・棚卸・経費入力・勤怠管理などもPOS本体で行えるよう設計しており、パソコンが動かなくなった場合の危険性を避けるよう考慮しています。弊社は長野に一拠点のみですが、24時間体制で開発部隊・サポート部隊・システム保守部隊を置き、いかに迅速にお客様の要望にお応えできるかを生命線としております。
宮川●
弊社は、 30年前からPOSを手掛け、店舗に精通したシステムを作っております。POSのハード保守から起業しており、その中でお客様からいただいた御意見等を要約してシステム化したのが弊社のPOSであります。
お金を稼いでくる店舗の部分がよくなければ、本部ではどうしようもないので、店舗系に特化しております。店舗数が増えてくれば、それなりの仕組みが必要になってきますし、100社あれば100通りの考え方があります。それに合った本部システムも自社で補えればいいのですが、できない場合は、こちらの3社様のシステムと連動して、一番いい物をご提案できればいいと考えております。