飲食業界での起業を考える若い皆さんを応援する「起業家への道」。
2007 年の開業を目指して準備中の柳生久輝さんにご登場いただき、起業への思いや活動内容をお話してもらっていますが、何とその柳生さんが海外へ行かれることになりました。柳生氏のブログをご覧の皆さんはご承知でしょうが、現在務める会社の海外店舗で1年をめどに働くことになったそうです。今回は、渡航直前の柳生氏に現在の心境をお伺いしてみます。
『自分に足りないものを掴むことが目標にします』
■柳生さんが海外勤務することが決定したのは、昨年 11 月。独立に向けて物件などを見て回っている最中のことです。すでに、現在務める会社(複数の居酒屋を経営)には、独立する旨の話をしてあり、あとはタイミングだけという状況だったそうです。
「実を言うと、前々から海外勤務の話はあったんですが、起業するからと断っていたんです。 僕が持ちたい店は居酒屋であって、その 海外の店は寿司レストランに近いような形態なので、 経験する意味があるのかなと思って…。
会社の社長から、“長い人生のうちに 1 年なんてあっという間。焦らずにいろんな経験しても良いんじゃないか”といわれて、確かになかなか体験できないことですからやってみようと思いました」
■海外勤務が独立にどんな影響を与えるか気になるところですが、料理を専門としていない柳生さんは、料理を覚える場にしようと考えています。あくまでも独立に向けた勉強の一環というわけです。
「自分の場合は、ちょっと料理が足りない部分があると思うので、いろいろ勉強したい。海外ですから、自分の想像範囲外の新しい発見ができたらいいと思います。かといって、逆に何かを掴んでしまって、そのまま海外で出店してしまうという可能性もゼロではないですよ。現地の景気がよくて、行けると思えるかもしれないし。独身だし、背負うものがないですから」
■現地では、語学力の問題があって店長職ではありません。おそらくキッチンで働くことになるので、料理の勉強を課題にしているというわけです。長く続いた店長職から、改めて1スタッフになることもいい経験になるはずです。
「一度教える立場を経験して、また教えられる立場になることには意味があるでしょうね。いい教え方、悪い教え方など得られるものは多いと思います。でも、右も左も分からない海外で働くわけですから、冷静になれるかどうか…。気持ちとしては新人に近い感覚ですよ」
■柳生さんは、今年で30才という節目を迎えます。今年の目標を最後に語っていただきました。
「海外で30才になるんですよ。自分では、比較的に波乱のある人生だと思っていましたが、また大きな波が来ましたね。飲食店は、コミュニケーションの勉強をし続けなればいけない仕事です。その一環ということで、海外修業をしてきたいと思います。現地での遊び方も分からないですからね…。自己資金を貯めるつもりで行ってきます。それから、今は誰でも成功できる時代ではないですから、焦って店を出すより、この1年を有効に使ってもっと具体的なイメージを持とうと思っています」