第4回
開店前一週間の作業 (1)
通常、開店日一週間から10日前に引渡し日が設定されます。「引渡し」とは、契約に記載された工事が完了し、電話・電気・ガス・水道等が使える状態になっていることです。「 第四章 第3回 : 店舗設計・施工会社の選択~イメージを形に、さらに具体的に~ 」 で延べたように、工事の遅れや予期せぬ出来事で、引渡し日に完了していないケースは良くあります。こまめに現場確認し、進捗管理を徹底して、開店日には万全の体制で臨むようにしましょう。
建設責任者、デザイン責任者等の関係者と工事内容全般について、細かく確認をしていきます。「 引渡し日 」 は、場合によってはセレモニー化しがちですが、決してセレモニーで終らせてはいけません。必要な書類を携え、すべてを完璧にチェックしましょう。当然、かなりの量のミスや工事遅れ部分が発見されます。それらのひとつひとつに対して、完了予定日を明確にしておきます。
また、実際にチェックしていく段階で、当初の内容に変更が加わることもあります。図面上のイメージと、実際の現物確認で差が出てきたり、新たな工事要件が発生したりします。こういう場合も、遠慮なく工事責任者に相談しましょう。場合によっては、追加工事費用も発生しますが、中途半端な状態で、開店を迎えるのは大きなリスクを抱えることになりますので、この段階でしっかりと確認しておきましょう。
すべてのチェックが終わったら、再度、修正箇所、追加工事部分とそれぞれの完了予定日を確認してください。

引渡し日及びその後の数日間で、食材を筆頭に、店舗営業関連の備品や消耗品、食器類、が納品されてきます。それらすべてにおいて、検品/検収を行います。検品とは「品質」をチェックすることで、検収は 「 数量・種類 」 をチェックすることです。「 検品/検収 」 作業は、必ず 「 発注書 」 に基づいて、現物確認をしてください。現場では、「 納品書 」 と確認している場面を良く見ますが、後でトラブルを起こさないためにも、「 発注書 」 で確認するようにしましょう。
「 検品/検収 」 が完了したら、速やかに 「 定位置 」 に保管します。「 定位置管理 」 は、飲食店では重要な管理項目のひとつです。あなた一人で店を運営しているのではなく、多くのスタッフと共同運営をします。何がどこにあるのか、という管理の基本事項は、「 探す 」 という無駄な時間を省くだけではなく、不必要な物を発注してしまったり、また欠品することも防ぎ、さらに営業中でのオペレーション効率にまで影響します。

施設としての状態ができ上がった段階で、「 保健所 」 及び 「 消防 」 の検査を受けます ( 第4章「各種申請手続き」の項参照 )。
事前に日程確認をして、抜けのないようにしましょう。また、どちらも 「 食品衛生責任者 」 「 防火管理責任者 」 を選任し、それぞれの資格を取っておくことが前提です。検査日程が不明確だったり、工事遅れが発生して、満足な検査が受けられなかった時は、後日検査となり、営業許可が開店日に降りないケースも発生します。当然、開店日が遅れてしまうことになります。工事の状況によっては、検査日を変更してもらわなくてはなりませんので、必ず事前に確認しておきましょう。
いずれの検査も、事前に指摘事項を受けているはずですので、それの 「 現地確認 」 が主な目的となります。この段階で不備を指摘され、追加工事をしなくてはいけない状況が発生することもありますが、真摯に受け止め対応しましょう。
特に、「 保健所 」 の立会い検査が完了した時点で、「 営業許可書 」 が発行されます。店に届けられたら、「 食品衛生責任者 」 「 防火管理責任者 」 のプレートと共に、お客様から見える場所に掲出してください。


物品の定位置管理は、オペレーション効率を上げる重要な基本事項である。特に、食材の定位置管理を怠ってしまうと、品質不良の原因となり、重大な事故に繋がってしまう恐れもある。あらゆる物に対して 「 定位置管理 」 を徹底させることが、店全体の 「 質 」 を高めることになるのである。ラベルを貼ったり、一覧表を作るだけでなく、さらに、色分けしたりして 「 一目でわかる 」 工夫をすれば、さらなる効率化に役立つだろう。
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