外食ドットビズ

第七章 飲食店のサービスとは Part1

速習 起業リファレンス

外食ドットビズは、創刊よりこの業界の活性化のためには新しい風が必要と考え起業家の方に向けてメッセージを送ってまいりました。この度、当編集部の責任編集による起業家向けのノウハウ集を発刊いたします。掲載期間が1年ほどの大作になると思います。社内外問わず起業家の方々にとって有意義なノウハウ集となりますので是非じっくりとご購読下さい。

第2回 教育訓練とは?


第七章 飲食店のサービスとは Part1
 

 第2回
 教育訓練とは?

接客の基本は 「 感じの良いサービス 」 と 「 おもてなしの心 」 といわれています。しかし、これらは非常に抽象的な表現で、ある人にとっては 「 感じが良い 」 場合でも、状況によっては 「 感じが悪い 」 と思う時もあるでしょう。例えば、お洒落な居酒屋で、デートを楽しんでいたカップルがいたとします。教育訓練とは? 彼らにとっては、ひと通りの注文をしたら、できる限りそっとしてもらいたいのかも知れません。そこに、「 飲み物のお替りは如何でしょうか 」 とか 「 追加のご注文は? 」 と頻繁にテーブルに行くことは、決していいサービスではないでしょう。また、食事をしながら内密な相談や打ち合わせをしているお客様も、話の内容が聞き取れないまでも、何となく雰囲気を感じることができます。こういうお客様達には、呼ばれるまでテーブルに行かないのが、気が利いたサービスかも知れません。

では、気の利いたサービスとはどういうものでしょうか。坂尻先生の体験談を紹介してみます。

ある和食の店で同業者数人と共に食事をしていました。ここは客単価で5000円以上の高級店の部類に入る店です。我々のテーブルの隣に、若い学生風のカップルが案内されました。そして彼らがメニューを見た途端、今までの笑顔が消えて気まずい空気が流れました。女性の方は下を向いて、男性は値段を見て明らかに動揺しています。二人の間に妙な緊張感が走っていました。我々もそんな空気を感じて、話が途切れてしまいました。そこへ女性スタッフがテーブルに来て、『 お客様、もしよろしければこちらのセットはいかがでしょうか。ほとんどのお客様が注文される人気のセットメニューです 』 と一番安いメニューを指差し、さらに 『 今でしたら甘味のデザートも付きますので、お薦めですよ 』 と付け加えました。この時の男性の安堵感に溢れた表情は忘れられません。テーブルの空気を感じ、一番安いメニューを案内し、それも二人のプライドを傷つけることなく、さり気なく薦めた女性スタッフの機転も素晴らしい対応でした。後から聞いたら、デザートサービスは、その場の思いつきで出てしまった言葉らしく、事情を話して店長の了解を得たのだそうです。スタッフの 「 行き過ぎ 」 を許容した店長も輝いて見えました。

教育訓練とは? このような店長とスタッフがいれば、この店のファンは増えることでしょう。確かに女性スタッフの行為は、多少行き過ぎた面もあるかもしれません。マニュアル違反もあったことでしょう。もし、隣にいたのが飲食業の関係者ではなく、一般のお客様だったら、「 隣のお客さんだけにデザートを提供して、我々には無いの? 」 といったクレームが入る可能性もあったでしょう。しかし、この時の女性スタッフは、必死にこの二人に食事を楽しんでもらうことだけを考えていたのです。

「 おもてなしの心 」 は、どうしたらスタッフ達に根付かせることができるのでしょうか。その人の行動や瞬時の判断は、「 素質 」 と 「 経験 」 で決定されます。「 素質 」 については、面接の時に発見することができます。例えば、始めと終わりにキチンと挨拶ができるかどうか、また、ペンや紙を渡された時に 「 すみません 」 「 ありがとうございます 」 という言葉が自然に出るかどうか、何気ないジョークを行った時の笑顔も要チェックです。短時間の面接でも、飲食店で働く基本的な要件が備わっているかは判断できます。

また、「 経験 」 については、飲食店の経験が無くても、何かしら感動したり、嬉しかったり、悲しかったりした経験はあるはずです。そんな話も聞いてみましょう。飲食店経験については、むしろベテランより、全くの初心者の方があなたの右腕になれるケースが多いようです。さらに、自分がこのお店を始めようとした想いや、こんな店にしたいといった夢を語るのもいいかもしれません 。  

坂尻先生の実践アドバイス!
スタッフの「教育」と「訓練」は全くの別物!

 
「 教育訓練 」 という言葉で一緒にされがちだが、「 教育 」 と 「 訓練 」 は全くの別物だということを理解しておこう。

●「教育」とは、
不足している知識や経験、もしくは仕事の目的を教えること。

●「訓練」は、
繰り返し作業によって、その仕事を正しく早くできるようにすること。


特にアルバイトには、教育をせずにすぐに訓練に入ったり、社員には教育はするものの、訓練をせずに現場作業がおろそかになったりするケースが見られる。お客様は自分を担当した、たったひとりのスタッフの行動言動で、その店を評価してしまうもの。それが社員だろうが、アルバイトだろうが関係はない。そして教育/訓練、それぞれに終わりはないことも忘れないでほしい。
 

 

 


 
 
外食ドットビズ 論説主幹・坂尻高志
外食ドットビズ編集部

外食大手のすかいらーくに20年以上勤務した後に外食経営コンサルタントとして起業した論説主幹・坂尻高志。
外食向けオーダーエントリーシステム(OES)を日本で初めて世の中に出し、現セイコーインスツルをOES大手に育て上げた後やはり外食経営コンサルタントとして起業をした主幹・酒美保夫。
外食ドットビズに携わる多彩な起業家経験者が、外食産業で起業を目指す皆様に起業家マニュアルをお届けいたします。
 

第一章 起業をめざして… 心構えはOK?
第二章 店舗コンセプトの決定 ~そもそも、何がやりたいのか?~
第三章 出店地と物件の決定 ~まずは足で探そう!~
第四章 店舗設計と各種申請手続き ~イメージを具体化しよう!~
第五章 メニューをつくろう Part1
第六章 メニューをつくろう Part2

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