外食ドットビズは、創刊よりこの業界の活性化のためには新しい風が必要と考え起業家の方に向けてメッセージを送ってまいりました。この度、当編集部の責任編集による起業家向けのノウハウ集を発刊いたします。掲載期間が1年ほどの大作になると思います。社内外問わず起業家の方々にとって有意義なノウハウ集となりますので是非じっくりとご購読下さい。
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第4回
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調理マニュアルは、年に数回の改編が必要になります。新しい商品を追加したり、今までの商品を撤廃したりする時はもちろん、原価が変更になる時は、マニュアルの変更もきめ細かく実行してください。これを怠ると、正しい経営判断ができなくなります。仕入れ価格は、季節・作柄・相場変動といった要因でかなり変ってきます。特に、生鮮ものについては、時期によって変動幅が大きく、原価計算に狂いが生じやすくなります。 想定している原価をオーバーする原因として、もうひとつ考えておかなくてはならないのが原材料の「歩留り(ぶどまり)」です。食材は、購入したものを全て使用できるわけではありません。ステーキ用の肉であれば、ステーキ用に整形する時に、余分な脂肪やスジを切り落とさなくてはなりません。また、どうしてもステーキにできない部分もあるでしょう。一人前 200gのステーキを提供する場合、1キロの肉から5人前を確保することはできません。20%のロスが発生すると考えれば、250gの肉が必要となるのです。 この「歩留り」を考慮に入れない原価設定をしたり、一定の金額のまま原価計算をしたりすると正しい数値がつかめません。状況変化によって、正確な原価を再計算し、その都度マニュアルの変更を実施するようにしましょう。 |
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これから飲食店を始める皆さんは、原価には「標準原価」と「実原価」があるということを理解しておきましょう。マニュアルで記載したように、商品それぞれに原価が明確になっています。仮に月次の決算をした場合、一ヶ月間に販売された商品の数量によって、売上対原価の比率(原価率)は変化します。 標準原価率=(当月メニュー別販売数×想定原価の総計)/当月売上高×100 しかし、実際に会計上に計上される原価計算では、このような計算は行なわれず、棚卸し結果と当月の仕入れ金額によって算出するのが一般的です。つまり、実際の材料の消費によって計算される原価が「実原価」で、これの売上構成率が「実原価率」です。 実原価率=(前月棚卸高+当月仕入高—当月棚卸高)/当月売上高×100 このふたつの原価率には差が出ます。理論的にはかなり近い値になりそうですが、実際には相当な差が出ます。この差を「ロス」といい、ロス退治は、この差をいかに少なくしていくかを焦点とします。次章で「食材ロス」について述べてみます。 |
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