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第五章 メニューをつくろう Part1

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第2回 「 価格 」 と 「 原価 」 の考え方

 

第五章 メニューをつくろう Part1

第2回
「 価格 」 と 「 原価 」 の考え方

商品価格は、一般的に 【 価格 = 原価 + 利益 】 という式になります。飲食店の原価は、食材もしくは加工品の購入価格となります。当然その中には、取引先のコスト(製造費・物流費・加工費・人件費等)や利益が含まれています。その価格に、自分達の利益(粗利)を加えたものが商品価格となります。しかし、この式では、原価が上がると商品価格が上がります。また、利益を多く確保しようとする場合も必然的に商品価格が上がるという意味も含まれています。

「 価格 」 と 「 原価 」 の考え方商品価格というのは、顧客の購入動機という観点から見れば、最も重要な要素です。お客様は、その商品価値と価格のバランスを見て、「これは安い・高い」と判断します。商品価値とは、前回で書いたように、味・価格・盛り付け・食材・提供方法で決まります。これにサービススタイルや業態特性といった要素が加わって、お客様は価値を判断します。

例えば、ステーキハウスで出される 3000円のステーキと全く同じ食材を使った場合、一般の定食屋やファミリーレストランは、同じ価格では販売できないでしょう。ステーキハウスの原価率を仮に20%と設定した場合、このステーキは、3000円(価格)=600円(原価)+2400円(利益)という構造になります。もちろん、2400円は粗利ですから、この中には調理やサービスを提供する人件費や店舗内外装費、厨房機器等の減価償却費、食器や消耗品費等の費用が含まれます。

では、このステーキを標準的な原価率 30%のファミリーレストランで提供しようとしたらどうなるでしょうか。同じ食材を使うのですから、原価は600円で同じ。これが価格の30%ですから、2000円(価格)=600円(原価)+1400円(利益)という数式になります。しかし、ファミリーレストランで2000円のステーキは、おそらく売れないでしょう。仮に、原価率を思い切って上げて50%にすると、1200円(価格)=600円(原価)+600円(利益)で提供できることになります。これならファミリーレストランでも通用する価格ですが、完全に赤字商品となってしまいます。

「 価格 」 と 「 原価 」 の考え方業態の特性というのは、この例が示すように、ステーキハウスは“非日常”の場、ファミリーレストランは今や完全に“日常”の場として使われています。従って、ステーキハウスが 3000円のステーキにお値打ち感を出したいのであれば、空間演出や調度品にかなりの投資をしなければなりません。加えて、高度なサービスも要求されるでしょう。また、ファミリーレストランが1200円のステーキを売ろうとすれば、600円の原価では商売になりません。商品の品質を落とさないことが前提であれば、ステーキハウスと同じ品質の食材を400円以下で調達しなくてはなりません。それには、高度な食材調達能力が必須であり、かつ多店舗展開等のマスによる調達メリットも活かさなくてはなりません。

同じ品質のものであれば、原価は高いより安い方がいいのは当然です。この考え方を数式で表すのであれば、前述した 【 価格 = 原価 + 利益 】 ではなく、

【 原価 = 価格 − 利益 】

と置き換えてみればいいでしょう。

前出の式では、原価が上がれば価格は上がる、利益がほしければ価格は上がることになり、努力目標が見えない形になってしまいます。【 原価 = 価格 − 利益 】 と考えれば、目標原価がはっきりしてきます。

「 価格 」 と 「 原価 」 の考え方「価格」を決めるのはお客様です。主軸の商品に対して、いくらだったらお客様は満足してくれるのだろうか、競合他店の価格設定はどうなっているのだろうか、といった着眼点で店を見るようにしましょう。お客様が来店され、さらにリピーターになってくれなければ、商売は成り立ちません。価格の決定は、自分達が提供する価値を、お客様の立場で検証して、お値打ち感のあるものにしなくてはなりません。

「利益」というものは、業態によって大筋が決定されます。ディナーハウスや個室居酒屋のような高客単価業態では粗利 80%前後(原価率で20%前後)、ファミリーレストランや大衆居酒屋のような中客単価業態では粗利70%(原価率30%)、低価格業態で粗利60%(原価率40%)あたりが基準となります。従って、お客様への価値によって決まる価格から業態標準の利益を引いたものが、目標とする「原価」となります。

坂尻先生の実践アドバイス!
価格と原価の原則を知っておくべし!

 
本文で示したように、同じ商品であっても、異なる企業が売る場合、様々な店舗形態の小売業が売る場合では、根本的に「価格」と「原価」の考え方は異なる。この原則を理解した上で、自分の店のメニュー作りを考えるようにしよう!
 

 

 


 
 
外食ドットビズ 論説主幹・坂尻高志
外食ドットビズ編集部

外食大手のすかいらーくに20年以上勤務した後に外食経営コンサルタントとして起業した論説主幹・坂尻高志。
外食向けオーダーエントリーシステム(OES)を日本で初めて世の中に出し、現セイコーインスツルをOES大手に育て上げた後やはり外食経営コンサルタントとして起業をした主幹・酒美保夫。
外食ドットビズに携わる多彩な起業家経験者が、外食産業で起業を目指す皆様に起業家マニュアルをお届けいたします。
 

第一章 起業をめざして… 心構えはOK?
第二章 店舗コンセプトの決定 ~そもそも、何がやりたいのか?~
第三章 出店地と物件の決定 ~まずは足で探そう!~
第四章 店舗設計と各種申請手続き ~イメージを具体化しよう!~

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