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第五章 メニューをつくろう Part1

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第1回 ブランド価値はメニューで決まる

 

第五章 メニューをつくろう Part1

第1回
ブランド価値はメニューで決まる

強い店の原理原則は、「強い商品を持っていること」と言えます。
「強い商品」とは、お客様の大多数が、“それを目当てに来店される”という商品です。飲食店の存在意義は、当たり前のことですが、楽しくて豊かで価値のある食事の場の提供です。店舗の外装や内装デザイン、サービススタイルの個性化は、一瞬の集客効果や一回目の来店動機にはなるかもしれませんが、永続的に効果があるものではありません。圧倒的な支持を得られ続けられる商品があって、初めてこれらの「付加価値」が生きてくるのです。

ブランド価値はメニューで決まる商品の価値は、味・価格・盛り付け・食材・提供方法で決まります。そして、「強い商品」というのは、この要素が競合他店よりも際立って優れていることが必要条件となります。まして、初めての店作りでは、奇をてらうより、「強い商品」作りに真正面から取り組むことが重要でしょう。強い商品のことを「核商品」という言い方をします。「核商品」は、来店されるお客様の3割以上、もしくは専門店であれば半数以上のお客様が注文される商品としなければいけません。

一般的に、その店の売れ筋のトップが、売上全体の1割にも満たないことはよくあります。特に FR(ファミリーレストラン)に代表される多くの大衆をターゲットとする業態では、この傾向が顕著です。FRでも、以前はハンバーグやピザといった立派な「核商品」が存在していました。お客様は、この「核商品」を目当てに来店され、それに加え、絨毯が敷きつめられた広くて豪華な内装があり、さらには、きちんとした接客がその商品の価値をさらに高めていくといった構造になっていました。しかし、時代の変化とともに「核商品」の売上構成比が減少し、メニュー数も増えていくといった状況になっていきます。

ブランド価値はメニューで決まるメニュー数の増加は、「迷い」以外の何物でもありません。商品を開発する側からは、「お客様のニーズの変化」や「好みの多様化」といった意見が聞かれますが、これは、「核商品」を成長させることができなかったと言い換えられるでしょう。何屋さんだか判らなくなった店に、お客様はわざわざ来店しません。来店動機が「食事」ではなく、例えば、家の近所だから、駐車場があるから、ゆっくりできるからなどに変化してしまいます。これらの動機を持つお客様は、決して固定化されるリピーターには成りえません。

「核商品」が開発できれば、これをさらにブラッシュアップして、価値を高めていくことが次のステップとなります。価値を高めるということは、より良い食材を使い、もっと美味しくなるように工夫して販売数を増やし、その結果、原価率を低減させ、さらに儲かる商品にしていくということです。

ブランド価値はメニューで決まる販売促進もこの「核商品」を中心に行っていきます。飲食業での販売促進は、いろいろな形態がありますが、中には売れない商品をターゲットとした販促、誰も喜ばないアイテムの宣伝をしたりするケースがあります。このような販促は、下手をすれば逆効果になってしまうでしょう。販売促進は、“自分達が自信を持っている商品をもっと多くのお客様に味わってもらいたい”という考え方が基本です。

核商品を作ることは、決して、メニューを固定化するという意味ではありません。旬な食材を使用したメニューを作ったり、地域の特性を活かしたりと変化を持たせることも重要です。しかし、この時にメニュー数をむやみに増やすことは避けましょう。メニュー数を増やすことは、多くの「死に筋メニュー(お客様から注文されないメニュー)」を生むことにもつながります。死に筋メニューは、店舗のオペレーションに負担をかけるばかりでなく食材ロスの要因にもなります。一度開発したメニューでも、売上が悪ければ切り捨てるという選択も必要です。

坂尻先生の実践アドバイス!
「死に筋メニューでもファンがいるから…」は大きな間違い!

 
一度開発したメニューを捨てるのは勇気がいることですが、注文が一日に一回あるかないかという商品はきっぱりと捨てるべき。死に筋メニューなのに、「ファンがいるから」「苦労したメニューだから」と存続させている例をよく耳にしますが、ファンがいる位ならもっと売れていいはずです。それに、苦労しても売れないのなら、その苦労は別のことに使ったほうがいいでしょう。
 

 

   


 
 
外食ドットビズ 論説主幹・坂尻高志
外食ドットビズ編集部

外食大手のすかいらーくに20年以上勤務した後に外食経営コンサルタントとして起業した論説主幹・坂尻高志。
外食向けオーダーエントリーシステム(OES)を日本で初めて世の中に出し、現セイコーインスツルをOES大手に育て上げた後やはり外食経営コンサルタントとして起業をした主幹・酒美保夫。
外食ドットビズに携わる多彩な起業家経験者が、外食産業で起業を目指す皆様に起業家マニュアルをお届けいたします。
 

第一章 起業をめざして… 心構えはOK?
第二章 店舗コンセプトの決定 ~そもそも、何がやりたいのか?~
第三章 出店地と物件の決定 ~まずは足で探そう!~
第四章 店舗設計と各種申請手続き ~イメージを具体化しよう!~

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