第四章 店舗設計と各種申請手続き~イメージを具体化しよう!~

速習 起業リファレンス

外食ドットビズは、創刊よりこの業界の活性化のためには新しい風が必要と考え起業家の方に向けてメッセージを送ってまいりました。この度、当編集部の責任編集による起業家向けのノウハウ集を発刊いたします。掲載期間が1年ほどの大作になると思います。社内外問わず起業家の方々にとって有意義なノウハウ集となりますので是非じっくりとご購読下さい。

第3回 店舗設計・施工会社の選択 ~ イメージを形に、さらに具体的に ~

 

第四章 店舗設計と各種申請手続き ~イメージを具体化しよう!~

第3回
店舗設計・施工会社の選択 ~ イメージを形に、さらに具体的に ~

皆さんの頭の中にある店舗イメージや事業計画に基づく様々な数値をいよいよ具体化させる段階に来ました。初めて店を持とうという皆さんは、店舗設計業者や施工業者とのパイプなんてほとんど持っていないでしょう。設計から施工まですべてを一括で請け負う会社も多くありますが、基本的には、「設計」と「施工」は別の会社を選択しましょう。ここでの選択のポイントはただ一つ、「飲食店の専門業者であること」です。

特に、オペレーション(店舗運営技術)のノウハウが無い状態では、とかく内外装のデザインに目が行きがちで、その結果、業態にふさわしくない店ができあがったり、働きづらい店になってしまったりというのはよくあることです。飲食店の場合の店舗設計は、オペレーションノウハウの固まりであり、この部分に強いこだわりを持っていない業者だと必ず失敗をしてしまいます。

設計を依頼する時に、あらかじめ確認しておくべきことは、次の 3つの事項です。

 

外食ドットビズ 論説主幹・坂尻高志  業態を明確にする            
 

単に「何屋をなりたい」というだけでなく、メニューの種類、販売量目安、サービススタイルについて具体的にしておこう。客席設計や厨房設計の重要なキーポイントとなるのです。もし自分のイメージと合致する既存店があるのなら、リストアップしておくといいでしょう。

 

外食ドットビズ 論説主幹・坂尻高志  利用動機を明確にする            
 

内外装を決定する要因で重要なのは、「どういう時に利用される店なのか」ということで、これは、出店地を決定する時の重要な要素でもあります。お客様の入店比率を高めるには、店舗外装と看板の位置は大切。内装やメニュー・サービスは、入店しない限り、アピールすることはできません。その外観から、店のトータルなサービスが想像できるような店にしたいところです。

 

外食ドットビズ 論説主幹・坂尻高志  投資額を明確にする            
 

これは、最も重要な確認事項。事業計画の作成段階で予測された数値をもう一度確認してみましょう。初めての店づくりでは、とかく売上予測は期待値を込めて甘くなり、経費予測は経験の無さから、少なめになってしまいます。この段階で計画書を再確認し、厳しい状況下での投資額を明確にしましょう。

 

これら 3項目を軸に、設計業者と綿密な打合せをしていきましょう。ここでの検討が甘いと、設計途中で大きな変更が発生したり、予算そのものに狂いが生じたりしてしまいます。工事途中の仕様変更は避けなくてはなりません。皆さんの想いを設計業者と共有することが成功への第一歩となるのです。

 

坂尻先生の実践アドバイス!
設計のパートナー選びは大切!

 
設計業者とのやり取りの中で、自分勝手に解釈するような業者、打合せそのものを避けるような業者には、お願いして遠慮してもらおう。初めて店を持つあなたの話をしっかりと聞き、それを具体的なイメージに落し込み、さらに色々な案を提示してくれる設計業者を選択しよう。
 

 

設計業者との打合せイメージが具体化できたら、施工業者を決めましょう。少なくとも 3社程度からは相見積りを取って、比較検討します。選択のポイントは、見積書が具体的になっていることが原則です。「内装一式○○円」とか、品名・単価・数量が不明確な見積りは好ましくありません。また、施工全般の工事担当者や管理者を自社で抱えているところを選ぶようにしましょう。さらに、高額の費用が発生する厨房機器や空調機器については、メーカーや販売店と太いパイプを持っていればベストです。それぞれの会社での過去の飲食店工事実績等を参考にしてください。大まかな打合せだけをして、後の工事は下請会社に丸投げしてしまうところも多く、これも失敗の原因となります。

設計・施工の契約締結時には、次の事項について明確にしておきましょう。

 

外食ドットビズ 論説主幹・坂尻高志  契約金額を決してオーバーさせないこと            
 

少しでもオーバーしそうな事態になったら、事前に発注者と受注者間で対策を協議する。発注者の判断無しに勝手に進めさせないことが重要。

 

外食ドットビズ 論説主幹・坂尻高志  設計ミスが判明した時は無償対応すること            
 

特に食材や備品の格納スペース、基本的な厨房・客席スペースの取り方など、設計段階当初のミスが工事期間中に顕在化することがあるので注意。

 

外食ドットビズ 論説主幹・坂尻高志  引渡し日を厳守すること            
 

当然のことですが、工事遅れや進捗管理ミスによって引き渡しが延びることがあります。また、引渡し日での完成度が低く、開店日に影響が出ることもあります。そういった時の営業保障など細かな取り決めは必須。

 

施工業者が決定したら、施工管理は設計者と協力して行いましょう。共通の工程表を基にした「日々の進捗管理」が原則です。この時期は、起業を目指す人には、開店準備の作業が山のように発生して、工事現場を施工業者に任せっきりになりがちですが、できる限り足を運ぶようにしましょう。工事に遅れはないか、問題は発生していないか確認できる場所は、現場でしかありません。また、現場の方達との良好な関係も築けます。細かな確認作業が進捗管理には一番大切なのです。

 

 

 


 
外食ドットビズ 論説主幹・坂尻高志
外食ドットビズ編集部

外食大手のすかいらーくに20年以上勤務した後に外食経営コンサルタントとして起業した論説主幹・坂尻高志。
外食向けオーダーエントリーシステム(OES)を日本で初めて世の中に出し、現セイコーインスツルをOES大手に育て上げた後やはり外食経営コンサルタントとして起業をした主幹・酒美保夫。
外食ドットビズに携わる多彩な起業家経験者が、外食産業で起業を目指す皆様に起業家マニュアルをお届けいたします。
 

第一章 起業をめざして… 心構えはOK?
第二章 店舗コンセプトの決定 ~そもそも、何がやりたいのか?~
第三章 出店地と物件の決定 ~まずは足で探そう!~

ページのトップへ戻る