第四章 店舗設計と各種申請手続き~イメージを具体化しよう!~

速習 起業リファレンス

外食ドットビズは、創刊よりこの業界の活性化のためには新しい風が必要と考え起業家の方に向けてメッセージを送ってまいりました。この度、当編集部の責任編集による起業家向けのノウハウ集を発刊いたします。掲載期間が1年ほどの大作になると思います。社内外問わず起業家の方々にとって有意義なノウハウ集となりますので是非じっくりとご購読下さい。

第2回 申請手続きの流れを理解しよう (2) その他の申請

 

第四章 店舗設計と各種申請手続き ~イメージを具体化しよう!~

第2回
申請手続きの流れを理解しよう (2) その他の申請

「 営業許可 」 の取得とともに、必要な申請も多々あります。特に、初めて起業される方は、次の申請手続きについて理解しておきましょう。

 

外食ドットビズ 論説主幹・坂尻高志  「 食品衛生責任者 」 の設置            
 

食品衛生法では、各店に 1人の「食品衛生責任者」を設置することが義務付けられています。食品衛生責任者には、栄養士、調理師、製菓衛生師、食鳥処理衛生管理者、船舶料理士、食品衛生管理者等の公的資格者であれば自動的になれますが、これらの資格を有していなければ、所轄保健所が開催する「食品衛生責任者講習会」を受講して取得しなくてはなりません。

受講資格者は 17才以上(高校生除く)、講習内容は「衛生法規」「公衆衛生学」「食品衛生学」から成り立っています。講習の最後にテストがあり、それに合格すれば、「食品衛生責任者」に認定されます。講習内容は地域によって異なりますが、月に数回ほど開催されますので、早めに取得しておきましょう。ただし、この資格は、各都道府県単位のみ有効です。東京で取得した資格は、埼玉では使えません。出店地以外の都道府県で資格取得をした場合は、改めて出店地の資格を取得しなくてはなりません。

飲食店営業許可申請の時に、食品衛生責任者設置届をします。営業許可が下りたら、「食品衛生責任者 ○○○○」と書かれたプレートが交付されます。営業許可書とともに店内に掲出することが義務付けされています。

 

外食ドットビズ 論説主幹・坂尻高志  「 防火管理者 」 の選任            
 

店舗・事務所・マンションなど、一定数以上の人が入る建物には、「防火管理者」の選任が必要です。防火管理者とは、火災の防止と火災発生時の人命の安全について、その対策を打つ責任者のことで、必ず 1名を選任します。
飲食店の場合は、「避難経路を熟知していない不特定多数の人が出入りする建物」であり、「特定防火対象物」という扱いになります。収容人員が 30人未満の場合は不要ですが、30人以上になると、防火管理者の設置が必要となります。なお、この場合の「収容人数」とは、従業員およびお客様の総計という意味です。

防火管理者には「甲種」と「乙種」の 2種類があり、どちらを適用させるかは、店舗延べ面積で決まります。300㎡以上の時は「甲種」、300㎡未満は「乙種」となり、いずれも所轄の消防署が主催する「防火管理者講習」を受講して資格を得ます。

 

外食ドットビズ 論説主幹・坂尻高志  「 開業届 」            
 

個人事業主であれば、事業を開始した日から1ヶ月以内に、住所または事業所の管轄税務署へ届出ます。

個人事業の場合の「開業届」は、義務ではありません。届出をすると翌年から「確定申告書」が税務署から送付されます。また、開業届とは別に、「青色申告」をする場合、事業開始から 2ヶ月以内に、「青色申告承認申告書」を税務署に提出します。これも義務ではありませんが、青色申告は税務上の特典を受けられますから、利用された方がいいでしょう。

法人の場合は、設立後 2ヶ月以内に、「法人設立届出書」「定款のコピー」「登記簿謄本」「株主等出資者の名簿」「設立時の貸借対照表」等の関連書類を提出することが義務付けられています。詳細については、管轄の税務署で確認して下さい。

 

外食ドットビズ 論説主幹・坂尻高志  「 社会保険等の申請 」            
 

法人の場合は、従業員を 1人でも雇用している事業所については、「健康保険」「厚生年金保険」は強制加入となります。社長もしくは役員であっても、法人に使用されているという意味で従業員扱いです。

個人事業については、飲食店の場合は任意加入となります。詳細は所轄の「社会保険事務所」で確認して下さい。

また、「雇用保険」「労災保険」については、法人・個人とも、常時 1人以上の従業員を雇用している場合は加入しなければなりません。

「雇用保険」についてはハローワークで、「労災保険」については労働基準監督署で詳細を確認してください。

 

以上が、飲食店開業における「申請業務」の概要です。慣れないと少し面倒かも知れませんが、いずれも重要な手続きです。所轄の関連機関とよく相談をしながら進めるようにしましょう。

 

坂尻先生の実践アドバイス!
申請業務は、安心の環境を生むための作業!

 
開業時の申請業務は、とても大変に思えるだろう。しかし、いずれの届出も、来店されるお客様の安全と安心を保障するものであり、また、一緒に働いてくれる従業員の仲間に対しての安心にもつながる。誰もが安心できる環境を提供することは、起業家にとって最も重要な仕事のひとつである。
 

 

 


 
外食ドットビズ 論説主幹・坂尻高志
外食ドットビズ編集部

外食大手のすかいらーくに20年以上勤務した後に外食経営コンサルタントとして起業した論説主幹・坂尻高志。
外食向けオーダーエントリーシステム(OES)を日本で初めて世の中に出し、現セイコーインスツルをOES大手に育て上げた後やはり外食経営コンサルタントとして起業をした主幹・酒美保夫。
外食ドットビズに携わる多彩な起業家経験者が、外食産業で起業を目指す皆様に起業家マニュアルをお届けいたします。
 

第一章 起業をめざして… 心構えはOK?
第二章 店舗コンセプトの決定 ~そもそも、何がやりたいのか?~
第三章 出店地と物件の決定 ~まずは足で探そう!~

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