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第三章 出店地と物件の決定~まずは足で探そう!~

速習 起業リファレンス

外食ドットビズは、創刊よりこの業界の活性化のためには新しい風が必要と考え起業家の方に向けてメッセージを送ってまいりました。この度、当編集部の責任編集による起業家向けのノウハウ集を発刊いたします。掲載期間が1年ほどの大作になると思います。社内外問わず起業家の方々にとって有意義なノウハウ集となりますので是非じっくりとご購読下さい。

第2回 場所決定の前に確認しよう (2) 地域特性編

第2回   場所決定の前に確認しよう (2) 地域特性編

商圏と同様に、出店場所と業態との関係性も把握しておかなくてはなりません。坂尻先生監修による地域別の傾向と対策の一例を紹介しますが、出店場所によって地域の性格は大きく異なります。その特徴をしっかりと把握して、出店計画を磨き上げましょう。

坂尻ポイント      繁華街(駅前商店街)       

通勤・通学者が大多数を占め、一日中人が流れています。特に朝・夕がピークになり、飲食ニーズも必然的に高くなります。一般的には、理想的な一等地ですが、逆に言えば、競合がひしめき合い、地代・賃料はとてつもなく高くなります。

また、お客様のほとんどはフリー客であり、固定客化は極めて難しいでしょう。さらに、ファスト・フード店等の比較的低価格の大規模チェーン店を競争相手にしなくてはならず、成功へのハードルは非常に高い立地とも言えます。しかし、明確な来店動機を持ったお客様を相手にして、商品・サービスともに高品質なものが提供できれば、大爆発する可能性も秘めています。

 

坂尻ポイント      地場の商店街            

通行量は多いですが、繁華街とは逆にフリーではなく、地元の方達が大半を占めます。従って、昔ながらの生業店が多く、地域密着型の商売が軸になっています。それゆえに、高客単価店は敬遠されがちで、大手チェーン居酒屋等も中々苦戦するエリアです。

成功要因としては、このエリアには必ず、ショッピングセンター、デパート、公園等、集客のポイントとなる場所が存在しますので、そこに来られるお客様(比較的フリー客が中心)を相手にした業態、もしくは完全に地元密着型で、地域のお客様の生活延長線上にある業態が望まれます。生業店の強さを研究し、それを上回るフォーマットの構築がポイントでしょう。そうなればクチコミによる集客も大いに期待できます。

 


坂尻ポイント      住宅街                 

旧市街地( urban area )と、新興住宅地( suburban area )とに区分されます。古くからの商業地域を取り囲むように存在している旧市街地は、比較的高年齢者が多く、積極的な外食動機は創出しづらい状況にあります。また、この地域は、所得格差も大きく、ターゲット顧客の設定も非常に難しいといえます。逆に、デリバリー等の新たなビジネスチャンスが埋もれているかもしれません。

一方、旧市街地の外側にある新興住宅地は、小さい子供のいる若い世帯が多く、外食機会は豊富にあります。過去、大手チェーン店はここへの出店を戦略として、大きく発展をしてきました。特徴は、ランチ・アイドル(暇な時間帯)・ディナー・深夜と、一定の利用動機があり、それぞれの時間帯によって、お客様は明確に店舗を使い分けています。従って、ここをターゲットとするのなら、「健康的な食材」を使い、「ちょっとお洒落」で「居心地のいい空間」を提供するといった、“今”の消費傾向を全面に押し出すことが必要となるでしょう。このエリアから、隠れた超繁盛店が生れるケースは珍しくありません。また、地元の女性客が中心となりますから、一度悪い評判が立つと中々挽回できないという大ダメージを負う危険性もあります。

 


坂尻ポイント      オフィス街               

昼間の人口が多く、客層は企業に勤めるビジネスパーソンが必然的にターゲットとなります。エリアの特徴としては、収益が期待できる営業時間が限られている事でしょう。平日のランチタイムがメインターゲットとなり、午後 2 時以降や土日休日は、ほとんど期待できません。ランチタイムを狙うのなら、店舗設計上、オペレーションの効率化が重要なポイントとなります。わずか 2 縲鰀 3 時間で競争も激しい勝負となりますから、メニューの絞込みと利便的な価格を設定しなければならず、決して楽なエリアとはいえないでしょう。

また、夕方以降のお酒を中心とした顧客を狙うのであれば、仕事の疲れをゆっくりと癒せる空間演出が必須です。同じ居酒屋でも、繁華街とオフィス街では、設計コンセプトやサービススタイルが全く異なると言ってもいいでしょう。どちらにしても、短時間勝負ですから、お客様に確実に伝わる「店舗コンセプト」が重要な戦略となります。

昼はランチ、夜はお酒を提供するダブルヘッダー型・二毛作型も多く見られますが、あまり成功例はありません。お客様の立場からすれば、ランチを食べる店でお酒は飲みたくないでしょう。また、ゆっくりくつろげる店でランチを提供すると、オペレーションのバランスも取れない高コスト構造になる恐れもあるからです。

 


坂尻ポイント      郊外型(ロードサイド)       

一時低迷をしていたロードサイドエリアが、大規模なショッピングセンターや特徴のある商業施設の出店によって、近年活発化しています。そして、お客様の志向は、以前のようなファミリーレストランに求めていたものとは明らかに違ってきています。

基本的に家族単位で動きますから、彼らの外食動機は「ハレの場」に近い動機が存在します。通常の食事はバラバラであっても、家族揃っての、そして、たまの休日を利用した買い物や外出では、いつもと違う食事をするという傾向が顕著になっています。ロードサイド店舗は、主役の交代期に来ているかもしれません。ニューファミリーの嗜好をしっかりと把握して、ファミリーレストラン群とは一味違った戦略が成功への道です。

また、このエリアでは、広い駐車場スペースと看板にも気を付けなければなりません。事業計画には、この投資分をきちんと計上して経営計画を立てる必要があります。

 

 

 


外食ドットビズ編集部

外食大手のすかいらーくに20年以上勤務した後に外食経営コンサルタントとして起業した論説主幹・坂尻高志。
外食向けオーダーエントリーシステム(OES)を日本で初めて世の中に出し、現セイコーインスツルをOES大手に育て上げた後やはり外食経営コンサルタントとして起業をした主幹・酒美保夫。
外食ドットビズに携わる多彩な起業家経験者が、外食産業で起業を目指す皆様に起業家マニュアルをお届けいたします。

第一章 起業をめざして…心構えはOK?
第二章 店舗コンセプトの決定 ~そもそも、何がやりたいのか?~

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