第4回 事業計画書を作ろう!
~ その2 ・ 売上 ~
事業計画の基本数値は、言うまでもなく「売上予測」です。売上予測は、“このぐらいほしいな”という数値ではありません。業態・立地条件・商圏特性、メニュー、販売促進、キャンペーン等あらゆる要素によって決定されます。しかし、式で表すと、次のような単純な構造で表現されます。
売上 = 客数 × 客単価
従って、売上を伸ばすためには、客数を上げるか客単価を上げる、もしくは、この2つを同時に上げればいいのです。しかし、現実にはそう簡単ではありません。客数を上げるには、客単価を下げ、業態は限りなく“日常”に近いものになり、逆に、客単価を上げるのであれば、客数は下がり、業態特性としては、“非日常の追求”という構造になります。
客単価は、“業態”と“メニュー構成”によってほぼ決定されるといわれています。お客様は、自分の利用動機によって予算が決まります(第二章第 2回参照)。その予算を上回る価値を貴方の店舗で発見できれば、次の来店は約束されたも同然となるでしょう。一方、利用動機を達成するのに、想定された予算を上回ったり、満足できなかったりした時はおそらく2度と貴方の店舗には来店されないと覚悟しておきましょう。客数が伸びないからといって、安直に低価格路線にすることも危険が伴います。一時的に客数は増加するでしょうが、客層が変化して、業態そのものが崩壊する恐れがあるのです。
客数については、業態に見合った立地条件になっているか、店舗を運営するのに充分な商圏規模が確保されているか、競合他社の状況はどうか、さらに表現すべき自店の QSCレベル(第一章第1回参照)がお客様の期待に沿うものかどうかで決まります。
お客様の期待感と店舗の価値を関係式で表現してみましょう。
お客様の期待 > 店舗価値 ⇒ 不満
お客様の期待 = 店舗価値 ⇒ 満足
お客様の期待 < 店舗価値 ⇒ 感動
不満であればリピートは期待できません。満足を提供したとしても、今の時代では当たり前のことであり、次の来店は期待できないかもしれません。お客様に支持されるには、お客様の期待感を上回る“感動”を提供しつづけなくてはならないのです。
飲食店の起業家の先輩たちに、お客様の言葉で何が一番嬉しいかと聞くと、「いい店だね」「美味しかったよ」ではなくて、「また来るね」という言葉だそうです。店舗の開業の前に、この「売上」に秘められた構造をしっかりと理解しておきましょう。

お客様の期待感は、時代とともに変化します。売上不振に陥った時は、割引キャンペーンをやるのではなく、お客様の期待感と自分の店との「ズレ」を発見して、修整しよう。自分でズレが解らなければ、お客様に直接聞いてしまってもいい。店の立場では気が付かなかったいい答えが見つかるはず!
|