『失敗は成功のもと』という言葉があるが、まさにその言葉を実体験した経営者が株式会社ワールド・ワンの河野圭一社長である。飲食店で起業するも数年で儚くも撤退、その後プロレスラーという異色の経歴を経て、再度飲食店の経営に乗り出し、いまでは神戸三宮地区に11店舗(内1店舗は大阪・京橋)を構えるまでになった。今回は河野社長に失敗から学ぶ飲食店経営についてお話をお伺いした。
- 失敗を繰返しながらも成功に至った理由をお聞かせ下さい。
「 成功しましたね 」 と言われるんですけれど、自分自身まだ成功したとは思っていません。何とか今このように生かせていただいているのは、若い頃の失敗ということにホンマに目を背けず逃げずに受け入れてきたからやと思うんです。あん時の失敗を人のせいにしたり環境のせいにしたりしていたらやっぱりアカンかったと思います。失敗を理解して、学びにしたからこそ今があると思っています。ホンマ僕は失敗の繰り返しで、失敗して初めて気がつくことがあるんですけれど、他のせいにはせず、自分自身に何か理由があるからうまく行かないんだ、どう学びに変えていけばいいんだという気持ちだけは持ち続けて行きたいと思っています。
今の僕にとっては一緒に戦って行けるメンバーと、お客様が喜んで帰って行かれる顔を見れることが「ホンマに飲食店をやってよかったな」と思える瞬間なんです。なんかの縁で知り合って、会社があるからこそ出会いがあって、一つの共通したチームを結成して、一緒に仕事や事業というものに携われて、そこでうまく行った時って共通の感動があるじゃないですか。
「 良かったよね 」 「 あのお客様、笑顔で帰っていただけたよね 」 などという些細なことでも立場とか年齢とか過去とか国籍とか全然関係無しに感動ができる。逆にうまく行っていなかった店がみんなで一生懸命知恵を出して 「 うまく行ったよね 」 という時も感動できる。この瞬間、瞬間って本当にかけがえのないものだと思います。
- 飲食店経営者として重要なことについてのお考えをお聞かせ下さい。
目先の一喜一憂ってありますが、こういう時はうまく行かないことが多い気がします。目先の損得を越えたその向こう側に使命感を持って仕事ができると結果としてうまくいったり、充実感があるように思えます。目先の売上ももちろん大事ですが、もっと深いところで集中して信念がぶれずに 「 俺はここに使命を持ってやっているんや 」 という 「 何のために事業をやっているのか 」、「 何のために飲食店を経営しているのか 」 という目的に向かって仕事をする方がもっと大事じゃないんかなと思います。僕の場合は変わった経歴ですので(笑)、人から批判されたり偏見で見られたりしますが、常に自分自身ぶれずに、自らを信じて、自分を信じてついて来てくれるメンバーに対しては明確なビジョン、信念、価値観を指し示して進んで行ける経営者になりたいと思っています。
出店に関しては、店舗数よりも 「 求められる地域に、求められる店舗 」 をきちんとつくって根付かせていきたいと考えています。基本的には 「 郷土料理 」 をテーマに続けて行きたいと考えていますが、” ブーム ” ではやりたくないと思っています。今は神戸が中心ですが、新しい地域は開拓して行きたいと考えています。ただ地域に根付いた形でやりたいんで店舗も点在させたくないと思っています。いわゆるドミナント展開をして、そのエリアにワールド・ワングループの強みを活かして、地域の人たちに根ざしていくような出店の仕方をして行きたいと考えています。
飲食業はこれからもずっとやって行きたいですね。『 食の創造 』 というのが永遠のテーマで、食の創造で世界を変えて行こう、世界の常識を変えていこう。食に携わる僕らの事業を通して世界を変えて行きたいと切に思っています。
僕は 「 水商売 」 などという胡散臭いレッテルを貼られたり、偏見で見られたそういうところで物凄くひねくれた生き方をしてきたんです(笑)。でも、この仕事は最高やと思うとるんですよね、ホンマしんどいですけれど。(材料を)仕入れて、(料理を)つくって、(メニューとして)売ってと製造から販売まで全てやっているんだからしんどくて当たり前なんですよ。得られるもの、例えばお金だけで考えたらこんなもんやってられないですから(笑)。投資に対するリターンを考えたら飲食は一番小さいんじゃないですか。だけどこの仕事は最高やと僕は思うとるんですよ。だから食の世界で働く人たちが胸を張って働ける業界にしたいんですよ。きらきらと輝いて、自信を持ってやっている仕事に昇華させたいんですよ。「 私ら居酒屋やから 」 「 僕ら農家やから 」 「 僕は牛を育てているだけやから 」 なんて卑下して未来が無いような仕事やなしに、「 俺はこの仕事をやっているんや 」 と自信をもって、胸を張ってお客様に接していけるようにしたいんです。お客様と飲食に関わる人たちが夢を共有して、もっともっと一緒に共感できる世界にしていきたいですね。
株式会社ワールド・ワン
http://www.world-one-group.co.jp/
みんなが世界に向けて一つになって、世界でたった一つの、そして世界で一番のチームをつくりたいとの想いから名付けられた。
代表取締役 社長 河野圭一氏
1971年 兵庫県神戸市出身
1996年 株式会社ワールド・ワン設立
自動車整備士、プロレスラーという異色の経歴を持ちながらも2002年神戸三宮に沖縄郷土料理店「modern食堂 金魚 本店」を出店。その後ほぼ年間1店舗の出店を重ね現在三宮に10店、京橋に1店の計11店舗を展開中。