『失敗は成功のもと』という言葉があるが、まさにその言葉を実体験した経営者が株式会社ワールド・ワンの河野圭一社長である。飲食店で起業するも数年で儚くも撤退、その後プロレスラーという異色の経歴を経て、再度飲食店の経営に乗り出し、いまでは神戸三宮地区に11店舗(内1店舗は大阪・京橋)を構えるまでになった。今回は河野社長に失敗から学ぶ飲食店経営についてお話をお伺いした。
- 特徴的な業態についてお聞かせ下さい。
当社は三宮に沖縄料理店を6店舗(内1店舗大阪・京橋)、日本全国の郷土料理を4店舗とバーを1店舗の計11店舗を運営しています。
「 金魚 」 という屋号は、良く聞かれるんですけれど単なる閃きです(笑)。パッと思い付き、何か可愛いなと思ったもので名付けました。1号店のオープンの時に逸話があるんです。内装の話はしましたが、備品類は千日前のどうや筋(道具屋筋)を端から端まで歩き回って安くで分けてもらったりしてたんです。” 金魚 ” に関わる小物類を探しにオークションみたいな卸市に潜りこんで色んな人に金魚の小物が無いか聞いて回っていたら、広島の骨董屋のおばさんが 「 あんたらやろー金魚、金魚とあちこちに言いまわっとんのは 」 「 あんたらのせいで金魚の着物や骨董品の値が全部上がってもうたわ 」 と怒られたんです。色んな業者さんに声を掛け過ぎて相場を上げてしまったんです(笑)。
バー業態は2004年に4号店として出した 「 Bar Delphinus 」 、いるか座という意味です。元々バーが好きやったんで、お酒というものにはずっと携わって行きたいんです。自分自身お酒で救われたり、人生を凄く豊かにしてもらったりという運を持っていると思うんです。お酒は人と人とを繋ぐ潤滑油みたいなものです。お酒を酌み交わして夢を語り合ったり、勇気付けられたり、人と人との距離を縮めたりというような場は持っておきたいなと思ってつくりました。
そして一番新しいのが昨年(2010年)12月に出した 「 脂屋 肉八 」 です。このお店は肉酒場みたいな郷土大衆居酒屋という新しい業態のお店です。前述の 「 琉球島和牛 」 を安く美味しく食べていただきたいなと想っています。お値段にはとことんこだわって、ちょっと贅沢なヱビスビールをジョッキで298円(税抜)でお出ししています。正直厳しいんですけれど、肉八(にくはち)=298にこだわりたかったこともありこのお値段にしています。
この店は ” 肉 ” という物に特化して、張りぼてで上っ面だけでやっているんやなしに、「 この店の使命は?何のためにこの店があるんか?何のためにこの店をやっているんか?」 、それは 「 お客様のこんな夢を果たすため 」 「 生産者の想いと素晴らしい食材を目に見える流通ルートにのせて店に届けてお客様のご満足にお応えすべく調理されて販売していくため 」 という根っこのある店にしたいと思っています。「 これは流行ってんねん 」 とか 「 これを出しゃ売れんねん 」 みたいな張りぼてではなしに、生産者の人たちの夢や想いを背負って、お客様に対して伝えて行きたいと強く思っています。これも沖縄県の現状、生産者たちの苦悩を実際の牛づくりの現場を通して知りました。売れないから廃業をしたり、夢が無くなったりしている現実があるんです。良いものを継続してつくっていくためには、僕らにはお客様と生産者を繋いでいく役割があるんじゃないかと。綺麗事で 「 社会貢献します!」 とか 「 業界を変えて行きます!」 じゃなしに僕らは僕らの意味や意義というものを持って飲食店経営をやっていかなければいけないんじゃないでしょうか。これは決して一過性のブームやトレンドなんかの仕掛け人になって、勘違い野郎になって、栄枯盛衰を味わっていくんじゃなしに、僕らの根っこにはこういう背景の人たちがいるんや、だから僕らはこれを愚直に継続的にお客様に伝えていきたいや、という新たなチャレンジの一歩として 「 脂屋 肉八 」 を出しました。
株式会社ワールド・ワン
http://www.world-one-group.co.jp/
みんなが世界に向けて一つになって、世界でたった一つの、そして世界で一番のチームをつくりたいとの想いから名付けられた。
代表取締役 社長 河野圭一氏
1971年 兵庫県神戸市出身
1996年 株式会社ワールド・ワン設立
自動車整備士、プロレスラーという異色の経歴を持ちながらも2002年神戸三宮に沖縄郷土料理店「modern食堂 金魚 本店」を出店。その後ほぼ年間1店舗の出店を重ね現在三宮に10店、京橋に1店の計11店舗を展開中。