失敗を学びに変える飲食店経営学 どん底を経験したから今がある ~プロレスラーを経験した経営者 株式会社ワールド・ワン 河野圭一氏

失敗を学びに変える飲食店経営学 どん底を経験したから今がある プロレスラーを経験した経営者 株式会社ワールド・ワン 河野圭一氏

『失敗は成功のもと』という言葉があるが、まさにその言葉を実体験した経営者が株式会社ワールド・ワンの河野圭一社長である。飲食店で起業するも数年で儚くも撤退、その後プロレスラーという異色の経歴を経て、再度飲食店の経営に乗り出し、いまでは神戸三宮地区に11店舗(内1店舗は大阪・京橋)を構えるまでになった。今回は河野社長に失敗から学ぶ飲食店経営についてお話をお伺いした。

第5回 「Everone’s GOAL」 ワールド・ワンの挑戦

第5回 「Everone’s GOAL」 ワールド・ワンの挑戦

琉風株式会社- 飲食店ビジネスとは別に沖縄で取組まれている新規ビジネスについてお聞かせ下さい。

郷土料理を追及していくためにはその地方、その地域の食材を使うことが郷土料理を伝えて行く上で肝要と思います。最初は自ら沖縄に足を運び、食材を仕入れて店舗に配送していました。そこで地元の食材加工・流通卸の会社と出会いました。これが 琉風株式会社 です。当初は 「 沖縄の味を全国に発信したい 」 との理念を共有するパートナーとして活動していましたが、2009年にグループ会社化し、より強固な関係を構築することになりました。これにより沖縄の食材を一括配送するなどの効率化で、メニューの単価を抑えることができるようになりました。

農商工連携認定事業広報誌「Everyone's GOAL」より食材開拓のため沖縄のある離島に行った時に母牛の現状を知ることができたのです。出産を重ねた母牛は痩せて旨味が落ちるため、和牛にもかかわらず安価で取引をされているのです。いくら痩せているとはいえ飼育するには当然それなりの費用がかかります。つまりビジネスとしては成り立たないということです。儲けることができないと生活も潤わない、そうすると後継者を育成することも難しいという現実に直面したのです。プロレスラー時代に感じていた地方の食材や郷土料理が消えてしまうんじゃないかという危惧をここでも目の当たりしたのです。食にかかわる企業として何かできないか、地元の方とwin-winの関係でできることはないかということを考え行動に移したわけです。

この事業のテーマを 「 母牛の肉質を高め、ブランド牛とは別の土俵で手頃で美味しい魅力ある牛肉として新たな市場を作る 」 としました。肉質改善には飼料が大きな鍵となります。牛の肥育にはビール酵母飼料が一般的といわれていますが、「 なら、泡盛のカスも使えるんちゃうか」と思い、地元の ヘリオス酒造 から泡盛や梅酒の搾りカスを提供してもらうことにしました。そして肥育協力をブランド豚の育成で実績のある 県立北部農林高等学校 に呼び掛け、了承を得ました。ここで開発された肥育用の配合飼料を沖縄本島の北部にある山原牧場の母牛に与えて肉質改善を行い 「 琉球島和牛 」 として出荷するという事業がスタートすることができました。どんな事業にも費用がかかりますが、この新しいビジネスモデルを幸いにも国が評価してくださり 「 農商工等連携事業計画 」 の認定を受けることができました。これによって国や沖縄県のご支援を受けながら活動ができるようになったのです。

琉球島和牛ブランド開発までの軌跡を追う 農商工連携認定事業広報誌「Everyone's GOAL」この事業の意義は小さくないと思っています。特に北部農林高校が連携参加することは、肉質改善飼料作りを授業にすることによる生徒の人材育成、地域との連携、将来の畜産業界のレベルアップが期待できるからです。また、酒造メーカーにとっての悩みの種であった搾りカスも環境に優しい新たな循環型ビジネスを構築できますから。

「 地域と一緒になって、地域に貢献できる企業でありたい 」 という想いが 「 琉球島和牛 」 のブランド開発で実現できたと思ってます。生産から流通、販売までの一貫したシステムが一つの流れとなり、様々な分野の方々が同じ夢に向かって 『 みんなのゴール 』 を目指す。僕たちは夢の実現のために挑戦し続けて行きたいと考えています。



河野圭一氏

株式会社ワールド・ワン

http://www.world-one-group.co.jp/

みんなが世界に向けて一つになって、世界でたった一つの、そして世界で一番のチームをつくりたいとの想いから名付けられた。

代表取締役 社長 河野圭一氏
1971年 兵庫県神戸市出身
1996年 株式会社ワールド・ワン設立
自動車整備士、プロレスラーという異色の経歴を持ちながらも2002年神戸三宮に沖縄郷土料理店「modern食堂 金魚 本店」を出店。その後ほぼ年間1店舗の出店を重ね現在三宮に10店、京橋に1店の計11店舗を展開中。

文:齋藤栄紀
ページのトップへ戻る