逆境を乗りこえる飲食店経営学 震災からの復興に歩んでいる皆さんと共に元気を ~株式会社スタイルスヴォイスプロダクト 佐々木浩史氏

逆境を乗りこえる飲食店経営学 震災からの復興に歩んでいる皆さんと共に元気を 株式会社スタイルスヴォイスプロダクト 佐々木浩史氏

2011年3月11日、東北地方を巨大地震が襲った。未曾有の被害をもたらした東日本大震災は東北地方の飲食店経営にも甚大なる影響を及ぼした。被災地、仙台で直営9店舗、FC1店舗を運営する株式会社スタイルスヴォイスプロダクトの代表取締役 社長 佐々木浩史氏に飲食店で起業を目指す皆様へのメッセージとともに震災発生時のお話をお伺いした。

第4回 飲食は“人”のウェイトが高い業界

第4回 飲食は“人”のウェイトが高い業界

逆境を乗りこえる飲食店経営学 震災からの復興に歩んでいる皆さんと共に元気を ~株式会社スタイルスヴォイスプロダクト 佐々木浩史氏~-飲食店経営者にとって大事なこととは何ですか?

難しいですね。たくさんあるとは思いますが、その中でも人材の育成じゃないですかね。この業界に関わらずそうなんでしょうけれど、過去にやっていた業界よりはるかに人的なウェイトが大きく占める仕事だと思います。飲食店はお客様あっての商売です、お客様の満足感を満たすためにはやはり人の力が不可欠です。そういった意味でも社員一人ひとりをしっかり見て、育成をしていくことが飲食業界では必要不可欠なことだと思います。

株式会社スタイルスヴォイスプロダクト求人情報ページより当社には 「 社訓 ~仲間との誓い10ヶ条 」 というのがあります。その1番目が 「 変わらないでいるために変わり続けよう 」 の1文です。異業種から来た私からみて一番変わらなくちゃいけないのは料理人たちでした。例えば40歳の料理人は18歳くらいに仕事を始めて、20年間に渡ってこの世界にいるわけです。そうするとこり固まった人生観ができて 「 刺身の切り方はこうでなきゃ 」 となるわけですよ。お客様の目線というのは時代、時代によって変わるのにこちら側は何にも変わっていない。お客様から支持されなくなるということは、この世界から退場しなくてはならないということなのです。そのことを教えていくのが飲食店経営者の仕事だと思います。

例えば、結構いい腕を持った料理人を東京の浜焼き系の魚料理の店に連れて行ったことがあります。そうすると物凄いカルチャーショックを受けるんですね。「 こんな料理の出し方でお客様が喜ぶんだ 」 と。たぶん彼から見たら物凄く邪道な出し方なんですね。けれどもお客様はライブ感だったり、市場っぽいというバーチャル感で喜んでいることに気付いたわけです。「 それまでは俺の料理は一級品だと思っていましたが、単なる自己満足だったことがわかりました。」 と彼は自分が変わらなくてはならないと思ったのです。結局飲食をやっている大多数の人間は、飲食の仕事をやって行きたいんですよ。良くも悪くもここにしがみついていくしかないわけです。仕事を変わらないためには自分が変わっていかなければならない。こういう教育が必要だと思います。

-これからの目標についてお聞かせ下さい。

旅館的個室酒場 鍋屋兼臓 ~ナベケン~今回の震災のダメージが大きかったんで、短期的な今期の目標は1回リセットしました。当初は、この下半期に、こういう店をどこに何店舗出店して行くという計画があったのですが、正直、既存店が100%復旧できるという見通しが立たないと進められないと判断しました。仙台の飲食企業のなかにはスピーディーにぽんぽんと店を閉めていくところがありました。当社もまだ2軒クローズしているところがあり、閉店も想定していましたが、何とか続けていける見通しが立ちました。その内の1軒は仙台駅東口にあるんですが、東口は繁華街というよりオフィス街なんです、大企業のなかには地震後すぐに仙台支社を閉鎖して東京に戻ってしまったところが結構あって、ゴーストタウン化してしまったのです。そこに2軒あったので店長たちと話をして1軒に集中させようということにしたのですが、この7月には再開させる予定です。

このように段々とやれる見通しもついてきましたので、この上期に関しては早急に固めて、遅くとも夏にはクリアにして、秋口に上半期の状況をみて、あらためて新規出店などを再考して行きたいと考えております。



佐々木浩史氏

株式会社スタイルスヴォイスプロダクト

http://www.styles-v.com/

代表取締役 社長 佐々木浩史氏
1961年 宮城県石巻市出身
1999年 現、株式会社スタイルスヴォイスプロダクト設立
事業概要 飲食店の経営、商業施設・飲食店舗のプロデュース、各種店舗の設計・デザイン、SP、マーケティングのビジネスディベロップメント

株式会社スタイルスヴォイスプロダクト

文:齋藤栄紀
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