逆境を乗りこえる飲食店経営学 震災からの復興に歩んでいる皆さんと共に元気を ~株式会社スタイルスヴォイスプロダクト 佐々木浩史氏

逆境を乗りこえる飲食店経営学 震災からの復興に歩んでいる皆さんと共に元気を 株式会社スタイルスヴォイスプロダクト 佐々木浩史氏

2011年3月11日、東北地方を巨大地震が襲った。未曾有の被害をもたらした東日本大震災は東北地方の飲食店経営にも甚大なる影響を及ぼした。被災地、仙台で直営9店舗、FC1店舗を運営する株式会社スタイルスヴォイスプロダクトの代表取締役 社長 佐々木浩史氏に飲食店で起業を目指す皆様へのメッセージとともに震災発生時のお話をお伺いした。

第3回 新しい食の文化を仙台に!

第3回 新しい食の文化を仙台に!

国分町立呑酒場「三代目日乃出屋」-スタイルスヴォイス社としては 「 日乃出屋 」 が最初の店舗ですね。

「 天空 」 以降もスタイリッシュ路線でおしゃれ系の店を展開して行きました。私自身は間逆なこてこて系の居酒屋をやって行きたいと考えていました。2007年当時、東京では新橋とか恵比寿なんかでも立ち呑み酒場系の店が活況していました。もともと東京や大阪には立ち呑み文化はあったのですが、仙台にはほとんどなかったのです。立ちながら呑むなんて疲れるだけだという単純な理由からなんですけれど(笑)。じゃあ仙台にも立ち呑み文化を取り入れようと。また、客単価もそれまでは3000円台半ばから後半だったので、もう少し抑える業態をやりたいとも考えていました。そこで別会社にしてつくったのが2007年11月にオープンした 国分町立呑酒場 「 三代目日乃出屋 」 です。

-その後の展開で同一ブランドというお考えはなかったのですか?

逆境を乗りこえる飲食店経営学 震災からの復興に歩んでいる皆さんと共に元気を ~株式会社スタイルスヴォイスプロダクト 佐々木浩史氏~同一ブランドでの横展開を全く考えなかったわけじゃないですが、私は異業種上がりの企画屋だったので、金太郎飴みたいな同じ店を増やして行っても面白くないなという気持ちが強かったですね。それと仙台というマーケットのなかでは、それこそ牛タンとか何らかのキラー商品を扱えば別ですが、そうでなければ横展開しても陳腐化するんじゃないかという考えもありました。立ち呑みの 「 日の出屋 」 が仙台の中心部に5軒も6軒もあることが想像できませんでした。

そこで、手間隙は確かにかかるのですが、業態、業種は可能な限りオリジナルのものをつくって、お店ごとにしっかりとしたコンセプトを持たせていくことにしました。仙台といえども街が狭いのでドミナント的に展開をしていけばそれぞれの店舗が相乗効果を発揮できるのではないかと考え、今のような店舗展開をしています。

-他地域への展開というお考えはないのですか?

東北のマーケットに関しては、やはり仙台が一番大きなマーケットです。仙台に出店の余地がないというなら話は別ですが、まだまだ余力はあると考えていますので、東北他県への出店は今のところ頭にはないです。

仙台駅東口 天海ハマ市場一方、東京への展開ということは、ずっと脳裏にあります。特に当社は魚業態の店が多く、出身も石巻ということで、骨太な魚業態を持っていけば、正直やっていけるんじゃないかと、おこがましいかも知れませんが、他の店に負けないんじゃないかという自信はあります。

私たちを含めてなんですけれど、地方の飲食ベンチャーが成長した象徴として東京ってありますよね。仙台だけではなく、札幌や福岡でも地元である程度成長したあとには東京に出店して、そこでも調子がよかったら上海やシンガポールに出店して行くという流れみたいなものってありますよね。私自身もそういうイメージを持っていたのですが、今回の震災でホント人生観が変わりました。東京に出すことだけが成長したという象徴ではないだろうと。もう1回自分自身を見つめ直して、会社のビジョンとか方向性といったフレームづくりをして行かなければならないと思うようになりました。



佐々木浩史氏

株式会社スタイルスヴォイスプロダクト

http://www.styles-v.com/

代表取締役 社長 佐々木浩史氏
1961年 宮城県石巻市出身
1999年 現、株式会社スタイルスヴォイスプロダクト設立
事業概要 飲食店の経営、商業施設・飲食店舗のプロデュース、各種店舗の設計・デザイン、SP、マーケティングのビジネスディベロップメント

株式会社スタイルスヴォイスプロダクト

文:齋藤栄紀
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