逆境を乗りこえる飲食店経営学 震災からの復興に歩んでいる皆さんと共に元気を ~株式会社スタイルスヴォイスプロダクト 佐々木浩史氏

逆境を乗りこえる飲食店経営学 震災からの復興に歩んでいる皆さんと共に元気を 株式会社スタイルスヴォイスプロダクト 佐々木浩史氏

2011年3月11日、東北地方を巨大地震が襲った。未曾有の被害をもたらした東日本大震災は東北地方の飲食店経営にも甚大なる影響を及ぼした。被災地、仙台で直営9店舗、FC1店舗を運営する株式会社スタイルスヴォイスプロダクトの代表取締役 社長 佐々木浩史氏に飲食店で起業を目指す皆様へのメッセージとともに震災発生時のお話をお伺いした。

第2回 飲食業に骨を埋める!

第2回 飲食業に骨を埋める!

逆境を乗りこえる飲食店経営学 震災からの復興に歩んでいる皆さんと共に元気を ~株式会社スタイルスヴォイスプロダクト 佐々木浩史氏~-具体的にはどの様なお店を企画されていたのですか?

こんな店があったら泉という地域のなかでは面白いし、繁盛するんじゃないかとあくまでも企画の観点だったのです。実際につくるとなると1億円以上かかってしまうような店で、利益構造など事業の設計図を描いていませんでした。具体的には完全個室の個室ダイニングで部屋の中では自分の好きなテレビを見たり、好きな音楽を操作できたり、カラオケができたりと自分の趣味趣向に合わせてパーソナルに使えるという店なんです。老若男女、カップル、ファミリーなど客層を問わずに集客できる店だと思っていました。当時の泉は人口増加率が全国のなかでもトップクラスでしたのでマーケットはあるとは思いましたが、といえども商圏人口として20~30万人くらいで、内装や設備などに莫大なコストがかかりますから難しいだろうなという思いは拭い去れませんでした。

-それでもチャレンジされたのは何故ですか?

格好よく言えば、これも運命かなと思ったことです(笑)。デベロッパーさんから見たら海の物とも山の物ともわからない我々に1億円もの大金を投資されるというのです。仮に失敗した場合には我々は逃げようと思えば逃げられるのです。にもかかわらず熱心に勧められたことが一つです。

逆境を乗りこえる飲食店経営学 震災からの復興に歩んでいる皆さんと共に元気を ~株式会社スタイルスヴォイスプロダクト 佐々木浩史氏~また、それまでは、しがらみのなかで仕事をしていたんですね。スポンサーのフォローや接待。「 こんな企画があたるわけないだろう 」 と思っていても、取引先が 「 俺はこういう企画がいいと思っていたんだよ 」 となると 「 素晴らしい!○○部長の仰るとおりです!」 なんてね(笑)。それに対して、飲食業はお客様とお店の間にしがらみがないじゃないですか。単純にお客様がいいと思えば来ていただけるし、良くないと思ったら来ていただけない。確かにそれまでの仕事は特に仕入れも在庫も必要なかったので大きなリスクがなかったですが、飲食業をやるとなるとお客様が0人かもしれないのに仕入れも在庫も必要というリスクがあります。でも、飲食店のお手伝いをしているうちに段々面白い仕事だなと思って来たんですよ。結構やりがいがある仕事じゃないかと思ったのが二つ目の理由です。

-飲食業に専念されることで悩まれましたか?

1週間くらいは悩んだと思います。最初の18坪くらいの店なら現業をやりながらできると思っていたのですが、120坪で1000万円くらい求められる店をやるとなると当然片手間ではできません。でも、やらないで後悔するのとやって後悔するんだったらやって後悔した方がいいだろうと思ったんですね。世の中、結果論じゃないですか。失敗したらやらなければよかったと必ず思うし、やらないで誰かが繁盛店をつくり上げたらあの時やっておけばと必ず思いますよね。じゃあやった方があとからの後悔も少ないだろうと思い決断しました。

天空-結果はいかがでしたか?

結果的にはうまく行きましたね。「 天空 」 という店で今もまだあるのですが、カップルがワイン片手にボサノバを聞きながら愛を語り合っている斜め向かいで、4人組の親父がカラオケで五木ひろしを歌っているみたいな不思議な店です(笑)。

もともと企画自体は自分でも面白いと思っていたのですが、泉って基本的に田舎ですからね。田舎でちょっと尖がったスタイリッシュな個室ダイニングが流行るのか、お客様に来ていただけるのか、額面通りの結果が出せるのかと不安があったのですが、結果的には地元の方だけではなく、かなり遠方からお越しいただいたりして繁盛できました。

あまりないタイプの店だったのと、ちょうど東京で流行っていた個室系の店が2003~4年頃に仙台にも出てきた時期で、LIONさんの 「 かこいや 」 などの個室系の店が結構出て来ていた時でした。まさに時流に乗れたというのも大きいと思います。



佐々木浩史氏

株式会社スタイルスヴォイスプロダクト

http://www.styles-v.com/

代表取締役 社長 佐々木浩史氏
1961年 宮城県石巻市出身
1999年 現、株式会社スタイルスヴォイスプロダクト設立
事業概要 飲食店の経営、商業施設・飲食店舗のプロデュース、各種店舗の設計・デザイン、SP、マーケティングのビジネスディベロップメント

株式会社スタイルスヴォイスプロダクト

文:齋藤栄紀
ページのトップへ戻る