開業支援の現場を知る!Vol.1 ~サッポロビール「“繁盛する”開業支援セミナー」レポート

開業支援の現場を知る!Vol.1 サッポロビール “繁盛する”開業支援セミナー レポート

外食ドットビズでは、「起業のすゝめ」コーナーを通じて今後飲食店に携わろうとしている方々に向けた情報の提供をさせていただいている。今後は、飲食店のパートナー企業が取組んでいる様々な開業支援の具体例をご紹介していきたいと考える。
第一弾として、「起業のすゝめ」コーナーのパートナー企業でもあるサッポロビールの開業支援セミナーの模様をお届けする。

第3回 金融機関から見たビジネスプラン評価のポイント

第3回 金融機関から見たビジネスプラン評価のポイント

ビジネスプランは何のために必要なのだろうか?大多数の方は、「 融資のため金融関係に提出する必要があるから 」 と答えるであろう。

開業支援の現場を知る!Vol.1 ~サッポロビール「“繁盛する”開業支援セミナー」レポートもちろん、これは間違いではない。出資者、金融関係、取引先などに自分のやろうとしているビジネスを理解していただき、力を貸してもらうために必要だからである。これは他人のために必要と言えるであろう。

しかし、本当に必要なのは自分のためである。創業者は色々と考え、成功までの道筋をイメージしながらビジネスを始める。ビジネスプランというものは、自分の頭の中にあるものを、書面に表現することによって、自らが考える事業構想を体系的に整理し、事業化するための課題とアクションプランを明確にするために必要なものである。

また、実際に事業を始めてからもうまくいかないことが多々出てくる。その際に初心に戻り当初の計画と現実とのギャップを見直し、課題解決していくためにも必ず必要になるものである。

つまり、ビジネスプランは 「 形式 」 ではなく 「 中味 」 が重要であるといえる。

開業支援の現場を知る!Vol.1 ~サッポロビール「“繁盛する”開業支援セミナー」レポートでは、ビジネスプランはどのように作成したらいいのであろう。

金融機関から見て、3つの切り口がちゃんと表現されているかが重要になってくる。一つ目は、「 やりたいこと 」 である。ここからは、困難を乗り越えていける熱意・信念・志を持っているかを見る。二つ目が、「 できること 」 である。ここでは、「 やりたいこと 」 を実現するためのスキルを持っているか。「 やりたいこと 」 と 「 できること 」 がマッチしているかを見る。最後が、「 社会が求めていること 」 である。これは、ビジネスとして成り立つだけのニーズがあるかどうかを見る。

創業前のため、事業実績が無く財務データが無い。取引実績が無いので信用情報が無い。このような中で融資を実行するためにはビジネスが成り立つのか、経営者としての能力が備わっているのかをみるためにもビジネスプランというものは非常に重要となってくる。

開業支援の現場を知る!Vol.1 ~サッポロビール「“繁盛する”開業支援セミナー」レポート実際のビジネスプラン( 創業計画書 )をみながら、金融機関が評価するポイントに注目していきたい。“ 洋風居酒屋 ” という具体例 が日本公庫のホームページ上にあるので、それを参考にしていただきたい。

左側の欄の上部が 「 事業内容 」、下部が 「 準備度合い 」、右側の上部が 「 資金計画 」、下部が 「 収支計画 」 にあたる。

事業内容
ここには、創業動機、経歴、技術、事業の特徴などのポイントを記入することになるが、特に創業の動機は、先ほどの「やりたいこと」にあたるので、自分の思いを伝えることが必要となってくる。

評価のポイントは、差別化できる特性はどんな分野か、その特性は市場に求められているものか、既存企業(競合他社)との競争に耐えうるものかという点を評価していく。

準備度合い
評価のポイントは、情報収集をちゃんとやっているかということである。重要なことはその情報が主観的ではなく、客観的なものであり、第三者の意見、企業が出している情報、統計データなどが使われているかということである。


資金計画
創業者は一般的に立派な設備で大きな事業を行いたいと考えがちである。そうすると高額な資金が必要となり、必然的に融資額が膨らみリスクが高まることになる。まずは「小さく生んで大きく育てる」という発想が必要である。具体的に言えば新しい厨房機器が本当に必要か、内装にこんなにかけてもいいのかということを見直すことである。中古の機器にしたり、内装を抑えたりする事でリスクを軽減することが可能となる。

ここには、左側に必要な資金の明細と金額、右側には資金の調達の方法と金額を記入する。必要な資金は設備資金と運転資金に分けられている。

設備資金は、実際に店舗を借りる場合の保証金、敷金、礼金、内装工事費、厨房機器費用などである。ここの金額は過不足のないようにしなければならないので、見積書などの添付が必要となる。

開業支援の現場を知る!Vol.1 ~サッポロビール「“繁盛する”開業支援セミナー」レポート運転資金は商品の仕入れ費用などである。開業当初は資金がショートすることが多々ある。平均的には6ヶ月くらいが目安になるが極力余裕を持つべきである。

評価のポイントは、設備計画は適正で過大な内容になっていないか、創業後の運転資金は充分に確保されているかという点をチェックする。

調達の方法には、自己資金、親族・知人・支援者からの借入、金融機関からの借入の内訳と返済方法を記入する。

評価のポイントは、返済方法など借入条件について検討されているか、借入依存度は高すぎないか、収支が計画を下回っても返済可能な運転資金を確保しているかなどといった点をチェックすることになる。

特に重要なのは自己資金である。自己資金比率が高まることにより、借入負担が軽減され、余裕ある資金繰りができるからである。一方金融機関側からみると、融資リスクが軽減され、創業経緯から計画性・事業意欲がわかり、いわば創業準備の証と見ることができる。

収支計画
収支計画は、本人にも金融機関にもわからず、正解はないものである。何のために必要かというと、どのようなビジネスを考えているか、そのビジネスには無理がないかを見るためである。

ここには、売上高から原価や必要経費を引いた利益を記入することになるが、ポイントは、利益が全て事業主のものかというとそうではない点である。返済元金はここに含まれるためそれを差し引いた分が生活費にできる金額となる。

開業支援の現場を知る!Vol.1 ~サッポロビール「“繁盛する”開業支援セミナー」レポート評価のポイントは、収支計画の予測と検証をしっかりと行っているのかという点になる。一般的に創業時の収支予測は過大評価になりがちである。それに対して、客観的に収支予測を行い、整合性のない収支見込は排除することが重要となる。

では、その検証方法は、第三者からの意見、市場調査に基づいたもの、日本公庫等の経営指標などを活用して予測を立てる、あるいは同業者との比較検討を行う等である。ここで重要なのは業界情報を数多く蓄積することである。

創業後約1年の経営状況 ※ を見ると予想売上の達成状況は、達成は約40%、未達成が60%近いことがわかる。ここからも収支予測は厳しめに見るべきである。

※資料:日本公庫総合研究所 「 2008年度新規開業実態調査 」

サッポロビール開業サポートセンターこの後も、「 成功事例から学ぶ 」 と題して、日本公庫が融資して事業を立ち上げた方々の事例紹介や 「 創業後の課題 」 など、興味深い講演が続いた。

残念ながら誌面の都合上割愛させていただいた。機会があればあらためてご紹介したい。

飲食店を創業するにあたっては、情報と人脈が非常に重要な位置を占めることになる。

「 相談するなら、サッポロビール 」。サッポロビールは、日本政策金融公庫とも強固なパートナーシップを結んで飲食業の起業を目指す方々の支援を行っているという。

資金調達のことについて知りたい場合でも、一度サッポロビールに相談したらいかがであろう。きっと人脈を使って、日本政策金融公庫のしかるべき人を紹介してくれるはずである。

サッポロビール 開業サポートセンター 03-6681-1616



サッポロビール株式会社

サッポロビール株式会社

http://www.sapporobeer.jp/

創立 1876年

代表者 代表取締役社長 福永勝

会社概要 1876年(明治9年)設立の開拓使麦酒醸造所で醸造された、北極星をマークとする冷製「札幌ビール」が社名の由来とされる。1949に大日本麦酒が分割された日本麦酒としてスタート。『ニッポンビール』を展開するも、愛飲家から『サッポロビール』を懐かしむ声が後を絶たず、これに応える形で1956年に発祥の地・北海道で『サッポロビール』を復活。翌年には全国で復活販売する。
1964年からは会社名もサッポロビール株式会社に変更している。2003年の持株会社制導入に伴い、新たにサッポロビール株式会社として設立された。

経営理念 サッポロビールは、「お酒は、お客様の楽しく豊かな生活を、より楽しく豊かにできる」と信じています
開拓使醸造所設立以来の、モノ造りへの想いや信念を忘れず将来に伝え、全ての企業活動を通して、新しい楽しさ豊かさをお客様に発見していただけるサッポロビールを目指します
これが、サッポロビールの永遠の務めです
サッポロビールは、お客様に「サッポロビールを選んでよかった」と言われる企業でありたいと考えます

文:斎藤栄紀  校正:貝田知明
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