「人」にフォーカスしたトラスト方式で繁盛店をつくる!~信頼関係で結ばれた、他に類を見ない店舗展開システムで起業家を支援~株式会社ムジャキフーズ 田代隼朗氏

「人」にフォーカスしたトラスト方式で繁盛店をつくる!信頼関係で結ばれた、他に類を見ない店舗展開システムで起業家を支援 株式会社ムジャキフーズ 田代隼朗氏

店舗数を拡大するビジネス手法は、チェーンストア理論が一般的だが、従来にはなかった業務委託による店舗展開「トラスト方式」で、60数店に上る店舗ネットワークをつくり上げているのが株式会社ムジャキフーズである。独立希望者とムジャキフーズの間でトラスト(信頼関係)をつくり、店舗のパフォーマンスと収益を最大化させるという同社の仕組みを紹介するとともに、繁盛店運営に必要な要素を探りだしてみたい。

第3回 運命共同体によるコラボだから高いモチベーションに

第3回 運命共同体によるコラボだから高いモチベーションに

「人」にフォーカスしたトラスト方式で繁盛店をつくる 信頼関係で結ばれた、他に類を見ない店舗展開システムで起業家を支援 株式会社ムジャキフーズ 田代隼朗氏契約形態にもいろいろなパターンがあり、弊社との契約以外に違う店舗を自己資金でやっている人もいますし、B(ベーシック)契約で2店舗、3店舗をやっている人もいます。この方式の一番のメリットとなるのは、開業までお金が一銭もかからないことです。すべてムジャキフーズで用意しますから、先行投資を自分で出す必要はまったくありません。A契約は人材までこちらで手配しますから、それこそ体ひとつをお店に提供するだけで、起業の疑似的体験ができます。B契約なら自分のスタッフを連れてくる以外、お金がかかりません。

もちろんメリットだけというわけではなく制約もあります。すでにムジャキフーズが運営していた既存店で大将になった場合、A契約なら、前年の数字を3ヶ月連続で下回ったら、契約解除を検討させてもらいます。落ちたり伸びたりならばいいのですが、3ヶ月連続で落ちるというのは、何らかの異常があると我々が判断するからです。B契約の場合、そもそも弊社の店舗ですから、家賃やうちの儲けを売上から取る必要があります。この額を年間トータルで決めて契約者に店舗を託しているわけです。毎月の売上金を回収して、すべての経費を差し引いて残った物をお返しする。そこで、残る物がない場合や、弊社の経費が回収できない場合には、契約の解除を検討するという制約があります。

だからといって、契約書で締めつけているわけではありません。チェーン店ならば、そうしないといけないのかもしれませんが、それでは、お互いに続かないように思っています。経営側と現場が一緒になって、お客さんに喜んでもらいたいと思う。そのモチベーションを高い位置でキープするためのコラボレーションが大事なのです。これは、弊社の飲食業がスタートしたときの 「 現場はこうしたい! 」 「 ケツは持つから自由にしていい! 」 という関係性が活かされているからだと思います。その関係でスタートしてなかったら、おそらくA契約の時に保証金を求めたり、B契約の時に敷金の負担を求めていたでしょう。それを必要としない代わりに信頼関係を求めているのです。

「人」にフォーカスしたトラスト方式で繁盛店をつくる 信頼関係で結ばれた、他に類を見ない店舗展開システムで起業家を支援 株式会社ムジャキフーズ 田代隼朗氏だからというわけではないですが、弊社のリスクは高いですよ。店をやりたいというので、やらせてみたら 「 やっぱり無理でした 」 とあっさり言ってくることもあるわけです。「 お前のために店を作ったのに・・・ 」 とグチを言いたくなりますよ(笑)。以前、契約者に 「 ムジャキフーズと自分たちの関係性 」 について調査してみたら、「 親子の関係 」 と答えた人がほとんどでした。「 警察と市民 」 と言ったヤツもいましたが、これは意味が分からない(笑)。守ってくれているが、悪いことをしたときは・・・といった意味でしょうかね。ただ、枠の中で守られていながら、自由に動ける環境を与えられていると思ってもらえているのではないでしょうか。だからこそ、一緒にいい思いをして、辛い時はともに頑張るというコラボレーションがうまくいっているのだと思います。

外部の皆さんからご指摘されるのは、「 独立させ、任せているにも関わらず、ちょっかいを出し過ぎではないか? 」 ということです。確かに、会議の場では、強く問うこともあります。もし、契約者本人が保証金などで自分のお金を注ぎ込んでいたら、そんなことは言えるはずありません。コンサルタントではなく、運命共同体であり、利害関係者ですから、そういう口を出すわけです。お互いに本気ですから、モチベーションはとても高くなっている。それによって、大きなものを生み出す可能性があるのです。ですから当たっている店は、ものすごく大きな利益を生み出します。逆に、ダメな店はすぐに閉めますから、不調な店舗はあまりありません。

「人」にフォーカスしたトラスト方式で繁盛店をつくる 信頼関係で結ばれた、他に類を見ない店舗展開システムで起業家を支援 株式会社ムジャキフーズ 田代隼朗氏ある店を閉めた場合は、大将を変え、屋号を変えて、新しい店になります。「 この物件は、何をやってもダメ 」 と思われても一向に構いません。お客さんは、商品を食べに来ることは来るのですが、それ以前に、「 人 」 を味わいに来ているのではないかと思っています。人が変われば、店も変わるはずです。人が変わったのに、屋号が変わらないのはおかしなことですよね。今は60数店舗ですが、つくった店は100数十店に上ります。それだけ回転が速いです。長く存続している店は、確実に支持を得ていますが、赤字の店舗はバッサバッサと切っていきます。早いところでは1ヶ月で見切ることもあります。2000万円、3000万円を投資して任せてみたら、全然ダメだったという場合は、すぐに閉めて1、2週間かけて次の店をつくる。店舗ごと変えて、小手先の中身だけ変えるということは絶対にしません。



田代隼朗氏
株式会社ムジャキフーズ

株式会社ムジャキフーズ

http://www.mujaki-foods.com/

代表取締役社長 田代隼朗氏

1963年鹿児島県出身

1986年6月に飲食店の経営と不動産の仲介業を主たる事業とする田代コーポレーションを設立。1997年3月に子会社としてムジャキフーズを設立、田代コーポレーションからラーメン店4店舗を営業譲渡。2001年4月には、初の業務委託店舗となるラーメン店を出店。現場での運営実績をもとに、これまでにない店舗展開システムとしてトラスト(=信頼関係)方式を確立して多くの独立希望者を支援。ラーメン、中華、洋食、鮨、鉄板焼、和食など67店舗(09年10月末時点)を全国規模で展開している。

文:貝田知明
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