「人」にフォーカスしたトラスト方式で繁盛店をつくる!~信頼関係で結ばれた、他に類を見ない店舗展開システムで起業家を支援~株式会社ムジャキフーズ 田代隼朗氏

「人」にフォーカスしたトラスト方式で繁盛店をつくる!信頼関係で結ばれた、他に類を見ない店舗展開システムで起業家を支援 株式会社ムジャキフーズ 田代隼朗氏

店舗数を拡大するビジネス手法は、チェーンストア理論が一般的だが、従来にはなかった業務委託による店舗展開「トラスト方式」で、60数店に上る店舗ネットワークをつくり上げているのが株式会社ムジャキフーズである。独立希望者とムジャキフーズの間でトラスト(信頼関係)をつくり、店舗のパフォーマンスと収益を最大化させるという同社の仕組みを紹介するとともに、繁盛店運営に必要な要素を探りだしてみたい。

第2回 店の“長”である大将の仕事は、繁盛店の育成業務

第2回 店の“長”である大将の仕事は、繁盛店の育成業務
 

「人」にフォーカスしたトラスト方式で繁盛店をつくる 信頼関係で結ばれた、他に類を見ない店舗展開システムで起業家を支援 株式会社ムジャキフーズ 田代隼朗氏5店舗、6店舗目と店舗を拡大する際は、「 誰にやらせてみるか? 」 ということを社内で議論しあって決めるようになっていました。そこから、多数決によって決めた人に新店を託すということが始まったのです。その時点では、独立させるというレベルではなく、純粋に店長に権限を委譲しているという言い方の方が適していたと思います。社内での疑似的起業という感じです。会社としていろいろなリスクを背負うので、たくさん失敗をしましたが、起業を目指す人のバイタリティーは、こういった自由な環境が最も盛り上げやすいと感じるようになりました。だったら、このまま行ってみようと、違う屋号で店舗を作りつづけ、それぞれの責任者に託して店を運営していく方法になったのです。信頼して託すわけですから、「 トラスト (=信頼関係) 方式 」 と命名することにしたのです。ですから、スタート当初は独立採算制ではなく、社内でのポジションを与えるという感じでした。

「人」にフォーカスしたトラスト方式で繁盛店をつくる 信頼関係で結ばれた、他に類を見ない店舗展開システムで起業家を支援 株式会社ムジャキフーズ 田代隼朗氏このようなトラスト方式を10年ほど実践していたところ、あるアナリストが興味をもってくれて話をする機会があったのですが、その方から 「 結局、店を任された責任者はサラリーマンに過ぎないのではないか。最後の最後は、社長の鶴の一声でひっくり返ってしまうはず。そこから脱皮しないと、この方式には何ら意味がない 」 と指摘されました。最もだと思いましたね。どんなに権限を委譲をしたといっても、結局、会社から圧力がかかれば、従わなければいけないのです。それがサラリーマンの宿命であり、仕事ですからね。これがある以上、社長である私が店をやっているのと何ら変わりないわけです。

アナリストの指摘に納得しまして、急遽、店長に対して 「 お前たち、独立しろ! 」 と会社を辞めさせました(笑)。個人事業主として役所に登録して、その店を託すという方法に変えたのです。これがうちの会社でいうところの 「 トラストA(アシスト)契約 」 です。その店長は、自分で独立の意志があるわけですから、会社を辞めてもいいわけです。しかしながら、店に必要な従業員をそろえる技量はないし、資金もない。だったら、物件としての店と従業員を使っていいから、そこに「大将」として君臨して運営してみたらどうだ?というわけです。

「人」にフォーカスしたトラスト方式で繁盛店をつくる 信頼関係で結ばれた、他に類を見ない店舗展開システムで起業家を支援 株式会社ムジャキフーズ 田代隼朗氏独立したオーナーを 「 大将 」 と呼んでいるのですが、大将だけが社外の人間で、あとはムジャキフーズの従業員という形態になっています。ですから、店の従業員の給料はムジャキフーズから出ていて、大将は自分でギャラを稼ぐということになります。大将以外の従業員は、給料が決まっています。店の売上が良くても悪くても収入があまり変わらないなら、ヒマな方がいいに決まっていますよね。それにハッパをかけて、売上をアップさせたとしても本人たちに戻ってくるのはわずか。だったら楽な方がいいというのが一般論です。その中から、「 大将に付いていくんだ 」 という気持ちの従業員を育てていくのが大将の仕事になるわけです。店を託された大将は、会社がそろえた人材を上手にコントロールして、自分の店として運営していく。そこで儲けた収益を会社と分けるという考え方です。従業員の目的意識は、給料と時間と仕事内容ですから、売上が良かろうが悪かろうが関係ありません。そこを管理するのが大将の仕事です。従業員を上手にコントロールして、その店を活性化させなさいとお願いしています。そのため、大将の業務名は“繁盛店の育成業務”と謳っています。繁盛店を育てるために大将として中心に座り、自由に店をつくっていく。これが世界初といえる方式だと思います。

「人」にフォーカスしたトラスト方式で繁盛店をつくる 信頼関係で結ばれた、他に類を見ない店舗展開システムで起業家を支援 株式会社ムジャキフーズ 田代隼朗氏“ 大将の店に、ムジャキフーズが従業員を派遣している ” とよく誤解されますが、そうではありません。弊社の店舗ですから。ムジャキフーズの店に、ムジャキフーズの従業員がいて、そこに外部から “ 繁盛店育成業務 ” として、大将自らが自分を派遣しているわけです。そして、上がってきた収益を持って返るというイメージです。

そこから彼らが目指すのは、完全独立です。今度は自分が従業員を雇い、ムジャキフーズからその店の店舗運営の業務委託を行うことです。これを 「 トラストB(ベーシック)契約 」 と呼んでいます。この業務委託は、昔からあるようなものです。パトロンのお父さんが銀座にクラブをつくって、ママに任せるようなものですね(笑)。

「人」にフォーカスしたトラスト方式で繁盛店をつくる 信頼関係で結ばれた、他に類を見ない店舗展開システムで起業家を支援 株式会社ムジャキフーズ 田代隼朗氏段階を経ていくのをイメージしやすいように、ABCと命名しているのです。A契約はアシスト、Bがベーシックで、Cはコネクション契約といいます。Bは業務委託なので、店舗の所有権はまだムジャキフーズにあります。大将自身の本当の城ではないわけです。弊社から店舗を買い取る、あるいは、まったく別の場所で改めて店を持つというのが完全な独立です。独立してしまうと弊社との縁がなくなってしまいますが、つながりは持っておいた方がいいはずです。グループで所有している情報や食材を安く仕入れるネットワークなどを提供するといった特典があるのがコネクション契約です。そのAからCまでの段階を踏んで、本当の独立を目指していけるスキームをつくったのです。



田代隼朗氏
株式会社ムジャキフーズ

株式会社ムジャキフーズ

http://www.mujaki-foods.com/

代表取締役社長 田代隼朗氏

1963年鹿児島県出身

1986年6月に飲食店の経営と不動産の仲介業を主たる事業とする田代コーポレーションを設立。1997年3月に子会社としてムジャキフーズを設立、田代コーポレーションからラーメン店4店舗を営業譲渡。2001年4月には、初の業務委託店舗となるラーメン店を出店。現場での運営実績をもとに、これまでにない店舗展開システムとしてトラスト(=信頼関係)方式を確立して多くの独立希望者を支援。ラーメン、中華、洋食、鮨、鉄板焼、和食など67店舗(09年10月末時点)を全国規模で展開している。

文:貝田知明
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