「人」にフォーカスしたトラスト方式で繁盛店をつくる!~信頼関係で結ばれた、他に類を見ない店舗展開システムで起業家を支援~株式会社ムジャキフーズ 田代隼朗氏

「人」にフォーカスしたトラスト方式で繁盛店をつくる!信頼関係で結ばれた、他に類を見ない店舗展開システムで起業家を支援 株式会社ムジャキフーズ 田代隼朗氏

店舗数を拡大するビジネス手法は、チェーンストア理論が一般的だが、従来にはなかった業務委託による店舗展開「トラスト方式」で、60数店に上る店舗ネットワークをつくり上げているのが株式会社ムジャキフーズである。独立希望者とムジャキフーズの間でトラスト(信頼関係)をつくり、店舗のパフォーマンスと収益を最大化させるという同社の仕組みを紹介するとともに、繁盛店運営に必要な要素を探りだしてみたい。

第1回 自らのチェーン展開でのつまずきが発想の転換に

第1回 自らのチェーン展開でのつまずきが発想の転換に

「人」にフォーカスしたトラスト方式で繁盛店をつくる 信頼関係で結ばれた、他に類を見ない店舗展開システムで起業家を支援 株式会社ムジャキフーズ 田代隼朗氏 大学で獣医学部に通っていたのですが、解剖がどうしても苦手で中退してしまい不動産会社に就職しました。3年勤めた後で田代コーポレーションという不動産会社を設立し、事業の一環として、飲食事業を始めたのがムジャキフーズの前身にあたります。飲食業をやるようになった動機は不純なものでした。ただ日銭が入るからという理由です。不動産は契約ありきで、契約が整わない限りお金になりません。だから、手堅く日銭を稼げる仕事をやっておきたかったのです。

「人」にフォーカスしたトラスト方式で繁盛店をつくる 信頼関係で結ばれた、他に類を見ない店舗展開システムで起業家を支援 株式会社ムジャキフーズ 田代隼朗氏最初にオープンしたのは、チャーハン、餃子、焼きそばがあるような大衆中華料理店。不動産業でお付き合いさせていただいた会社からノウハウを教えてもらいました。当時の会社の規模は4、5人程度でしたが、そこから2~3名を修行に出して、田代コーポレーション設立のおよそ2年後には1店舗目を開業しました。私自身は、厨房に立った経験はありません。人が足りないときに皿洗いをしたことがありますが、「 邪魔だからいらない 」 と言われました(笑)。

不動産と飲食という事業の柱ができて、飲食部門に関してはすぐに多店舗化を考えました。1店舗がそこそこうまくいったから、単純に2店にすれば利益も倍になるだろうと安易にも思ってしまったわけです。

「 ラーメン無邪気 」 という屋号で始めたのですが、普通に考えたら、おいしそうには思ってもらえないですよね。どこの暴走族みたいだし。そういった常識的なことも知らずに、自分のやりたいように出店していったわけですが、3店舗になった頃から問題が起こりました。「 1・3・10の法則 」 という1店舗から複数店になるときの壁に見事に引っ掛かったのです。1店舗目が大成功して、2店舗目はまあまあ、3店舗になると利益が出なくなる。4店舗目に至っては、全店の足を引っ張るくらいの負債が出るようになったのです。

「人」にフォーカスしたトラスト方式で繁盛店をつくる 信頼関係で結ばれた、他に類を見ない店舗展開システムで起業家を支援 株式会社ムジャキフーズ 田代隼朗氏なぜかというと、チェーン理論をもともと持っていないから。場所を構えて、料理のレシピを渡して、他人に勝手にやらせておけば利益が出ると思っていたのです。現実には、お客さんからクレームだらけでした。あっちの店とこっちの店で全然味が違うし、サービスにも差があるというお叱りをたくさん受けて、はじめて多店舗化の苦労を感じました。

それで嫌になってしまって、半分投げやりな気持ちになっていると、現場の連中ともいざこざが起きるものです。彼らからすると、現場のことは社長に分かるはずがないという気持ちになる。現場のことは自分たちが専門家であり、自分の店では、こういうことをした方がいいと言い出す。あっちの店では違う方法が受けるはずと、いろいろなことを言うわけです。それならばと、期待半分、諦め半分で 「 自由にやってみろ 」 と私も言ってしまったわけです。

「人」にフォーカスしたトラスト方式で繁盛店をつくる 信頼関係で結ばれた、他に類を見ない店舗展開システムで起業家を支援 株式会社ムジャキフーズ 田代隼朗氏原価率がどうのこうの、販売促進がどうのこうのと一切口を出さずに、自由にやらせてみたら、それぞれの店長がちゃんと考えていたのでしょうか、徐々に徐々にお客さんが増えていったのです。利益という面ではまだまだ遠い話でしたが、お客さんの頭数は明らかに増えました。これは、需要があるということで、地域に認められてきたということです。

そのうちに、屋号も 「 自分の名前を使いたい 」 といった要望が店長から来るようになって、それも許可を出しました。そういう流れができていくうちに、「 どこを切っても同じ顔が出てくる金太郎飴のようなチェーン理論が、すべての商売において正しいとは限らないのでは? 」 と思い始めたのです。これが、トラスト方式の基盤となったのです。



田代隼朗氏
株式会社ムジャキフーズ

株式会社ムジャキフーズ

http://www.mujaki-foods.com/

代表取締役社長 田代隼朗氏

1963年鹿児島県出身

1986年6月に飲食店の経営と不動産の仲介業を主たる事業とする田代コーポレーションを設立。1997年3月に子会社としてムジャキフーズを設立、田代コーポレーションからラーメン店4店舗を営業譲渡。2001年4月には、初の業務委託店舗となるラーメン店を出店。現場での運営実績をもとに、これまでにない店舗展開システムとしてトラスト(=信頼関係)方式を確立して多くの独立希望者を支援。ラーメン、中華、洋食、鮨、鉄板焼、和食など67店舗(09年10月末時点)を全国規模で展開している。

文:貝田知明
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