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相手が欲しがるツボを探し出す!物を売る基本を忘れないことが繁盛の絶対条件

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第5回 5年目で気付いたマーケットの重要性

第五回 5年目で気付いたマーケットの重要性

5年目で気付いたマーケットの重要性「 ふらんす亭 」 一号店がいけるかなと思ったのは5年目のことです。450円のカレーを出して、粗利65~70%を取るのに必死になるよりも、肉をしこたま食べさせて50%をもらった方が合理的だと思うようになってからです。私なりに一所懸命カレーの研究をして、「 今日のカレーはどう? 」 と常連に聞くと、「 いつもより辛いかな 」 と言われておしまいだったりするんですよ。実際には、根本的に違うカレーにしているのにそう言われてしまう。ところが、ビーフをいつもより多く入れると、「 牛肉が多い 」 と大喜びするわけです。下北沢の若い人は、特徴のある美味しいカレーよりも、肉の塊を食べたいわけです。だったら、思いきり肉を食べてもらおうじゃないかと思ったんです。いま思えば、それが初めてのマーケットインということです。

5年目で気付いたマーケットの重要性一枚の紙に 「 下北ステーキはじめました。225g 1480円、350g 1980円、450g 2480円。全品サラダ、ライス、コーヒーまたはグラスワイン付き 」 と書いて壁に貼りました。それまで一日あたりの最高売上は 7万円強、ほとんどの日が 2万円台だったのに、張り紙をした初日から 10万円に跳ね上がりました。現在と比べると高い値段ですが、目の前で他のお客さんが鉄板でステーキを食べていると 「 あれ! 」 と注文するんです。翌日には 13万円、その次は 17万円となり、2週目には 20万円になりました。ひと月の売上 180万円程度だったのが、ステーキを始めた月は 450万円になり、半年後には 550万円になりました。それまでは、公衆便所に入っていくような汚い入口が悪いとか、下北沢は美容室が多くて火曜日が暇だからダメだとか、トイレに飾る花の色が良くないから売上が悪いんじゃないかなどと考え込んで、頭の中がパニックになりそうでした。ところが、お客様の気持ち、お客様が望んでいるものを探し当てて、それをどこよりも値打ちのある状態で提供すれば、そんな外的要因は関係なく、売上はどんどん天井を突き破っていくものです。

5年目で気付いたマーケットの重要性「やった!」と思ったのは、ある冬の日の女性アルバイトからの報告でした。高校生のバイトの子で、いつも夕方 6時にきちんと来るのに、その日は 8時になってから来たんです。その間、店は大パニックですよ。「 こんなに忙しいのに何で遅刻したの! 」 と怒ったら、「 外は大雪で電車も止まっていて、来れやしないですよ。いま下北沢で営業しているのは、吉野家とここだけです! 」 なんて逆に怒鳴られちゃいました。強欲な社長のことだから、大雪でも営業してるはずと、お父さんに頼み込んで送ってもらったんだそうです。びっくりしてお店が地下だったので、慌てて地上の通りに出てみたら、雪が積もって誰も歩いていない上に、どこの店も閉まっている。でも、駅からうちの店に来る足跡だけが残っているんです。当時は、待っているお客様にサービスでグラスワインを出していました。単なるサービスではなく、グラスを持たせておくことで帰らないようにつなぎ止めるものでしたが、その日も空のワイングラスを持って震えながら狭い階段で、お客様たちが行列を作っていました。

当時の私は30歳になっていましたが、オヤジの会社が潰れた後の苦しい12年間をやっと脱出した思いでした。成功したとか、儲かるというのではなく、水中で息ができなくてもがき続けてきたのが、やっと水面から顔が出て呼吸ができたというような喜びを感じました。



松尾 満治

松尾 満治

九州・佐世保の高級レストラン「ふらんす亭」にて1年間見習いを経験した後、26歳のときに東京・下北沢のビル地下1階に10坪の「ふらんす亭」を創業。20年後の平成12年にフランチャイズ化して、「ふらんす亭」の他に居酒屋、イタリアン、ラーメン、カフェなどの業態で直営店75店舗・FC100店舗を展開(2006年8月時点)。外食に従事して30年を期に「ふらんす亭」を譲渡、外食で夢を追う人を対象とした「松尾本気塾」を今年6月から開催する。また、「ふらんす亭」を運営する株式会社フードデザインの顧問として、社員研修に携わっている。

松尾本気塾の詳しい内容はコチラ

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