味だけではなく、本場ナポリの食文化を伝えたい!~“しょせんピッツァ”から始まるこだわりの店づくり~「ピッツェリアGG」 河野智之氏

味だけではなく、本場ナポリの食文化を伝えたい! “しょせんピッツァ”から始まるこだわりの店づくり 「ピッツェリアGG」 河野智之氏

東京・東中野にあるナポリピッツァ専門店「ピッツェリアGG」は、600円台から本場の味を楽しめることで多くのファンを抱えています。店長を勤める河野智之氏は、ナポリの老舗店舗で修行を重ねた本場仕込みのピッツァ職人。興味をもった食べ物を身につけるため単身イタリアへ渡り、若くして人気店を切り盛りするに至った貴重な体験談をお話いただきます。

第1回 感動することばかりだったナポリピッツァとの出会い

第1回 感動することばかりだったナポリピッツァとの出会い

味だけではなく、本場ナポリの食文化を伝えたい しょせんピザから始まるこだわりの店づくり ピッツェリアGG 河野智之氏 私の父親が某ファミリーレストランチェーンの役員をやっていたこともあって、子供の頃から自然と飲食関連に興味をもっていました。大学を卒業するときには一般企業も受けましたが、あまりものを知らなかったので受かるはずもなく(笑)。親父のファミレスに就職しようという気もまったくなかったですね…。ただ自分でやれることをやりたい、新しいことをやりたいという漠然とした思いだけがありました。その時に考えたのが、やきとり屋かピザ屋でしたね。

味だけではなく、本場ナポリの食文化を伝えたい しょせんピザから始まるこだわりの店づくり ピッツェリアGG 河野智之氏当時は、高級やきとり屋が流行していて、学生時代にバイトもしたことがあります。結局、大学を卒業してからはピザをやってみたくて、イタリア料理のチェーン店に就職しました。将来的に脱サラして飲食業をやるつもりだったのですが、どうせやるんだったら、最初からやるのも同じだろうと数ヶ月で退職を決意しました。一応は就職したのですが、下っ端だと何もできないと感じました。料理長などトップの人から教えてもらうこともできないのです。だったら、卒業旅行で行ってピッツァがおいしいことに驚いたナポリに行ってしまおうと考えたのです。

味だけではなく、本場ナポリの食文化を伝えたい しょせんピザから始まるこだわりの店づくり ピッツェリアGG 河野智之氏イタリアのピッツァといっても、ローマピッツァに代表される北の地域のピッツァと、ナポリのような南部のピッツァは全然違います。卒業旅行で行った素人の僕でも感じられるほどの違いがあるのです。ナポリピッツァは、小麦粉・水・ビール酵母だけで生地をつくるので非常に軽い感じになっています。それを高温の窯に入れて、1分ほどで一気に焼き上げるので、サクサクフワフワでモチっとした食感になります。これが大きな特徴ですが、ナポリピッツァは1枚4ユーロ(約680円)程度と安いので、1人で1枚食べるという習慣があります。子供から大人まで親しまれる庶民の食べ物という存在です。

味だけではなく、本場ナポリの食文化を伝えたい しょせんピザから始まるこだわりの店づくり ピッツェリアGG 河野智之氏以前から日本でもローマピッツァやアメリカンピザなどを食べていましたが、個人的にナポリピッツァが一番おいしく感じました。窯の前にいる職人が、すごいスピードで焼き続ける姿にも感動した思い出があります。それに、ローマピッツァやアメリカンピザはデリバリーもあるように、すでに日本にはたくさん店舗があるのでおもしろみに欠けますよね。メジャーではない料理だからこそやりたかったんです。



河野 智之
※写真右は、ピッツァ職人歴4年の太田賢二氏。

河野 智之

1981年東京都出身。
学習院大学を卒業後、イタリア料理チェーン店に就職するも、自ら料理を身につけて起業したいとの思いから退職。翌年の2005年1月に単身イタリア・ナポリへ渡航する。
ナポリの老舗ピッツェリアでピッツァ職人として修行、2006年11月に帰国。
帰国後は料理店に勤務しながら起業準備に奔走、2007年10月に株式会社三番町ホテルの出資によって、東京・東中野にナポリピッツァ専門店「ピッツェリアGG」をオープンする。

文:貝田知明
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