自分の個性、お店の個性、従業員の個性を大事にする店づくりを目指せ!

起業のためのネット講義 自分の個性、お店の個性、従業員の個性を大事にする店づくりを目指せ! 有限会社 唾々 代表取締役 伊藤守

1999年に名古屋でオープンした居酒屋「唾々」を皮切りに、おでん屋やたこ焼き居酒屋などを次々と開業、2003年には東京進出も果たした伊藤氏は、35才にして7店舗を構えるまだまだ若手の起業家。「個性とチャレンジ」を基本コンセプトに、新しくて美味しい店をつくり続ける伊藤氏に、差別化できる店づくりのポイントを教えていただきます。

第3回 常に新しい店に挑戦する。そのための努力は惜しまない!

常に新しい店に挑戦する。そのための努力は惜しまない!

有限会社 唾々 代表取締役 伊藤守運がいいことに、『 唾々 』 に来てくれていたゼットンの稲本健一社長に可愛がっていただいたことが、店舗を増やすきっかけになりました。店を出して半年頃に、「一緒におもしろいことをやらないか」と声を掛けていただいた。それが、 2000年11月にオープンした 『 JINRO STYLE(ジンロスタイル) 』 。焼酎の眞露が出資して、大地真央と結婚したことで話題の森田恭通氏がデザインした店です。ゼットンの店ですが、うちともう一社の3社共同で期間限定で営業していました。そこで、店を増やす面白さを体験しました。増やすことがすべてとはいわないですが、やってみようかなと思ったんです。まだ、『 唾々 』 が落ち着いてなかったですが、ピンときたらやるしかないというタイプなので。今でもそうですね。だから、従業員が大変なんですが…。

2店目は、2001年6月にオープンした 『 マットレス 』 。店内すべてにベットマットが敷いてある28坪50席の店。全国的にマットがブームになりましたが、うちが先駆ですね。このときも資金は借り入れ。恐怖心がなかったわけじゃないですが、何十億円ならともかく、1億円位までの借金なら何とかなるかなと思っていた。私より、保証人の人たちの方が恐怖心を持っていたでしょうね(笑)。

かなやまサルーンその次が 『 かなやまサルーン 』 で、これは 17坪のおでん屋です。当時、高級な料理がブームだったので、庶民派というかB級グルメをやりたかった。フレンチをかじったことがあるのでわかるんですが、居酒屋で高級感を出そうとするとダメなんですよ。お客さんは、フレンチが食べたければ、ちゃんとしたフレンチレストランに行く。居酒屋には、ホッとするようなもの、誰もが嫌いじゃないだろうなという料理が合う。それでおでん屋にしました。

本来なら店でダシを取るのでしょうが、うちのはオリジナルの粉末です。食品会社とすったもんだして、1年掛けて開発しました。化学調味料の味がするおでんが嫌いで、どうやったら、あの味を出さずに美味しいつゆができるかを考えたんです。粉末だとアルバイトスタッフでも毎日美味しいダシが取れる。本式の鰹ダシを取るのは難しくて、その日の温度や湿度でいろいろと調整しなければいけないですから、そうすると、お客さんから「今日のはマズイ」と言われたりします。低温粉砕という方法でオリジナルの粉末ダシが完成したおかげで、自信を持っておでん屋を営業できました。

たこやきマイケル。4店目も庶民派路線の たこ焼き居酒屋 『 たこやきマイケル。 』 。たこ焼きが大好きで、いつか店を持ちたいとずっと思っていたんです。これは冒険でしたが、今の自社ビルでもある場所に80席の規模にしました。たこ焼きの知識もないですから、いろいろなところに行って勉強しましたが、やっていくうちに、これも自社でやるしかないと思って無添加の粉を作りました。おでんの時もそうでしたが、いかに化学調味料を排除して旨味を出すかを考えました。実は、その頃に子供ができて、食に関する考え方が変わってきたんです。安全な食ということを世の中に示していくのも、我々の義務ではないのかなと思うようになりました。

有限会社 唾々 代表取締役 伊藤守オープン初日に泥棒に入られるというアクシデントもありましたが、すごく忙しくて、焼き続けて肩が上がらなくなるほど。 1人前400円で客単価も低かったですが、オープン当時で月800万円は売っていました。たこ焼き以外の料理もあるので居酒屋として使ってもらえるほか、ランチ、テイクアウトもたくさん利用してもらいました。ランチタイム初出店でしたが、儲からなかったですね。ランチをやるなら本腰入れてやらないとダメです。時間が余っているとか、客が見込める立地だからという理由でできるものじゃないです。



伊藤守

伊藤守

有限会社 唾々ホームページ

1971年愛知県生まれ。大学卒業後、地方ラジオ局の内定を蹴って居酒屋業界に飛び込む。フレンチなどレストラン勤務も経験してから28才のとき名古屋で居酒屋を起業。朝まで営業する居酒屋、たこ焼き居酒屋など競合店とは一線を画した店づくりにこだわり、つぎつぎに繁盛店を生み出している。

ページのトップへ戻る