繁盛店仕掛人に聞く「平成の時代に繁盛する個店の絶対条件とは?」 株式会社エイアンドティー.ティ代表取締役 上木草平氏

繁盛店仕掛人に聞く 平成の時代に繁盛する個店の絶対条件とは?

繁盛店仕掛人に聞く 平成の時代に繁盛する個店の絶対条件とは?有名カフェバーを皮切りに、ラーメン店、居酒屋をはじめとする多くの飲食店のデザイン・設計を手掛け、経営サポート業務にも乗り出している株式会社エイアンドティー.ティ(a&t.t)の上木草平氏。

上木氏が世に送り出した店舗は、いまや日本全国に広がり、それぞれに繁盛店となって成長を続けています。“繁盛の仕掛け人”という異名を持つ上木氏から、これから起業を目指す皆さん、現在個店を経営する皆さんへ、繁盛店を作る条件を伺ってきました。

 

第5回 繁盛店を作る第一歩は、今すぐできることばかり!

第5回 繁盛店を作る第一歩は、今すぐできることばかり!

これから個店を出そうと思っている皆さんに言いたいのは、「個店であるからこそ、孤店になってはいけない」ということです。個店はひとりぼっちになりがちですが、自分から横のつながりを持つ努力をして、周囲の同業者と交流をしてほしい。競合しないところでネットワークを持つといいです。仲間意識は、互いのスキルアップに繋がったりとメリットが多い。これからの個店を繁盛店にするためには、同業者のネットワークは欠かせません。ちなみに、弊社で行っている個店同士の勉強会のメンバーは、自店のレシピを持ち寄り情報交換し合ったり、各地方の食材の調達をしたりと交流が盛んです。先日は、「特価でアワビを発送します 」などの情報交換をメールで行っていました。

繁盛店仕掛人に聞く「平成の時代に繁盛する個店の絶対条件とは?」株式会社エイアンドティー.ティ代表取締役 上木草平氏 個店がネットワークを作ることのメリットは、そういう情報交換はもちろんですが、一番は個々のモチベーションが上がり、結果、互いに高め合えるということです。有言実行と言いますが、ひとりで宣言してもしょうがないでしょう。一人じゃないんだ、皆がいてくれるんだという気持ちで仕事をする上で意味があるのです。

外食企業が自分本位になって、顧客不在になっている!?それから、「いい加減な店を作るな」と声を大にして言いたいです。安くて良い店を作りたいという要望を持つ人は多いですが、それはありえません。店にはお金を掛けなきゃいけないのです。限度はありますが、最初の店は特にそうすべきです。中途半端なお金で飲食店をやってほしくないのです。理由は簡単です。それはお客様がいらっしゃる場所だから。お客様がいらしてお金を下さるのですから、いい加減なつくりのお店では失礼でしょう。自分の家にはお金を掛けるのにお店にお金を掛けないのはなんででしょうね(笑)。お金を掛けずに店を持つ人って多いんですよ。どんな店であっても独立開業するには、敷金や工事費だけでも 1500~1600万円は必要です。デザイナーを使わずに、自分で工務店と打ち合わせをしても、その程度は掛かる訳です。それで、失敗して1500万円をパーにするよりは、2500万円を注ぎ込んでプロに依頼して成功させた方がいいじゃないですか。デザイナーを雇って店を作る、お客様が喜びそうなメニュー構成を立てる、開店前に接客やオペレーションの練習会を十分に重ねるということも成功には必要なことです。店や商品のネーミングひとつにもこだわってほしいですね。店の名前ひとつで、客を呼べることもありますから。物件についても、自分の観念や感性で決めないことです。できれば、プロに見てもらうべきです。物件の善し悪しというのは、人通りや駅からの距離、目立つかどうかというだけではないんです。飲食店に向く、向かないというポイントは多岐にわたるものです。不思議に思うでしょうが、それこそ、方角だとかスピリチュアルなところまで検討してもいいくらいですよ(笑)。

最後に、これから独立を目指そうという皆さんは、やはりイイ意味での修行を重ねてほしいです。今、飲食業に携わっていない人もいるかもしれませんが、まずは飛び込むしかありません。しかも、繁盛店に飛び込むことです。そして、ホールも厨房も経験しておいてほしい。両方を経験しないと、それぞれの良さや痛みが分からないからです。今から飲食業をやるなら 5年、バイトでいろいろやってきたという人でも3年は再修行をして欲しいものです。そして、繁盛店をつぶさに観て、体感してくることです。「見る」ではなく「観る」。なぜ、その店が繁盛しているのかを観察することが大切です。オーナーや店長など、繁盛店のトップは絶対に何か良いものを持っています。

繁盛店仕掛人に聞く「平成の時代に繁盛する個店の絶対条件とは?」株式会社エイアンドティー.ティ代表取締役 上木草平氏チェーン店などで売上不振の店があると、他の店からイイ店長を連れてきて配置しますよね。そうすると、売上は必ず上がります。飲食業というのは、そういう業種です。だから、繁盛店には必ず優秀なトップがいます。なぜ人が付いていくのか、チームがまとまるのか、いいおもてなしができているのかを観察して学んでください。

「リーダーシップとはなにか?」。そのことを常に考えていることが、自分の店が繁盛するかどうかの分かれ目になると頭に叩き込んでほしいと思います。



上木草平

上木 草平

1950年、石川県生まれ。1970年に東京の店舗内装会社に入社、84年に店舗の企画デザイン・設計施工を業務とするa&t株式会社を設立。一店一店、オーナーに合わせた店創りで数多くの繁盛店を生み出す。2003年には、物件探しや資金調達など初期段階から飲食店経営をサポートする株式会社a&t.t(エイアンドティー.ティ)を設立、日本全国に数々の繁盛店を誕生させている。

株式会社エイアンドティー.ティ 代表取締役

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