繁盛店仕掛人に聞く「平成の時代に繁盛する個店の絶対条件とは?」 株式会社エイアンドティー.ティ代表取締役 上木草平氏

繁盛店仕掛人に聞く 平成の時代に繁盛する個店の絶対条件とは?

繁盛店仕掛人に聞く 平成の時代に繁盛する個店の絶対条件とは?有名カフェバーを皮切りに、ラーメン店、居酒屋をはじめとする多くの飲食店のデザイン・設計を手掛け、経営サポート業務にも乗り出している株式会社エイアンドティー.ティ(a&t.t)の上木草平氏。

上木氏が世に送り出した店舗は、いまや日本全国に広がり、それぞれに繁盛店となって成長を続けています。“繁盛の仕掛け人”という異名を持つ上木氏から、これから起業を目指す皆さん、現在個店を経営する皆さんへ、繁盛店を作る条件を伺ってきました。

 

第3回 「おもてなし力」アップで成功の方程式が見えてくる

第3回 「おもてなし力」アップで成功の方程式が見えてくる

これまでの僕の体験から、4つのキーワードによる「繁盛の方程式」というものを掲げています。

  1. 商品力 (料理に関するすべて)
  2. 雰囲気 (清潔感や非日常感など)
  3. 接客 (明るさ、元気、心配りなど)
  4. 割安感 (トータル的な価値)

という4項目を5段階で評価し、それをすべて掛けた合わせた数値で自己評価しようというものです。

5点満点で「とても素晴らしい 」、4点は「素晴らしい 」、3点は「普通 」、2点は「努力が必要 」、1点は「かなりの努力が必要」という評価になります。これはあくまでイメージですが、ある項目が0点だと、掛け算をする訳ですからいくら他の項目が満点でもトータルは0点になります。

繁盛店仕掛人に聞く「平成の時代に繁盛する個店の絶対条件とは?」株式会社エイアンドティー.ティ代表取締役 上木草平氏 この方程式に当てはめてイメージしてみると、FCなどの企業店はオール3点で、すべてが平均ラインと言えるでしょう。トータルは、3×3×3×3=81点です。個店の場合、企業店と同じことをやっていても繁盛する訳がありません。仮に同じ点数だとしても、企業店の全国的な知名度、物流力、組織力の差で敵うはずがない。では、個店の点数をどこで伸ばしたらいいのか。それは、3.接客(おもてなし力)を上げるしかないのです。これを 3点から4点に上げることができれば、必然的に店の雰囲気・ムードも4点近くに感じられるようになるでしょう。そうすると、お客さんからすれば、料理も美味しく感じるようになるものです。たとえ、料理そのものの味やクオリティーが変わっていなくてもね(笑)。そうなると、自然と満足度も上がり、ひいては割安感も感じてられます。つまりこうしてすべて4点にすることができれば、4×4×4×4=256点になり、これくらいの点数になって初めて企業店に差をつけることができます。まずは接客力を上げる。これが個店の爆発的な繁盛に結びつく第一歩のように思います。

外食企業が自分本位になって、顧客不在になっている!? 個人店というのは、“ 世界にここにしかない ” と主張しなければいけません。そこで酒を飲んだり、食事をしたりすること、そこにいること自体がステータスにならなければいけないのです。大型店や企業店というのは、何人で行ってもすぐに入れたり、すごく安かったり、駐車場があるということが一番の利用価値です。それらに勝つのは、接客という「おもてなし力」を上げることが基本になるのです。

おもてなし力・接客力というのは、「人間力」とも言い換えられます。飲食店での人間力というは「気配り」と「心配り」だけです。この二つを持っていれば、必ず自然に笑顔も出てくるわけです。では、「気配り 」「心配り」とはどういうことでしょうか。それは、「り」の字を取ると分かります。お客さんの「気配」を感じられること、お客さんの「心配」をしてあげられることです。これをできることが飲食店における「人間力」であり、おもてなし業の意味でもあるのです。

繁盛店仕掛人に聞く「平成の時代に繁盛する個店の絶対条件とは?」株式会社エイアンドティー.ティ代表取締役 上木草平氏 具体的に、店のおもてなし力を高めるには、「チームワーク」が必要になります。前述したように、昔は、従業員が顧客なんていう考えはありませんでした。従業員=弟子ならまだしも、まるで奴隷のように扱うこともあったほどです。しかし、今は、会社経営の流れが完全に変わっています。従業員が辞めてしまうのは、仕事場が楽しくないからなんです。ましてや毎日同じことの繰り返しですから、嫌になってしまいますよね。だから、チームづくりの一環として、仲間を作ることも経営者の仕事です。店の一人一人がお互いを認め合い、分かり合える仲、助け合える仲になって「チームワーク」が生まれるのです。従業員それぞれに得意・不得意があるわけで、接客上手な人がいれば、上手ではない人もいる。それをどうやってフォローしていくかが、店のおもてなし力を上げることになるのです。  



上木草平

上木 草平

1950年、石川県生まれ。1970年に東京の店舗内装会社に入社、84年に店舗の企画デザイン・設計施工を業務とするa&t株式会社を設立。一店一店、オーナーに合わせた店創りで数多くの繁盛店を生み出す。2003年には、物件探しや資金調達など初期段階から飲食店経営をサポートする株式会社a&t.t(エイアンドティー.ティ)を設立、日本全国に数々の繁盛店を誕生させている。

株式会社エイアンドティー.ティ 代表取締役

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