前回の NRA SHOW 2006 同様、私的なエピローグ掲載の許しを得た。
今回はテクノロジー系の催し物が主体だったので、自分の本業にてらして、簡単に考えていたのだが、またもや実際の趣旨や迫力をお伝えするには遠く及ばなかったと感じている。
英語力の不足もさることながら、どうもいまさらながらインターネットの力を再認識した。
私自身「わかった気になっている」ことが多いと白状しつつ、あることに気づいたが、ネットワークで情報が手に入る社会というのは、情報の提供者としては利便性が最大化するのと同時に、利用者にとっては、事前に蓄える情報も最大化し、製品やサービスに対する期待値が肥大化した状態になるということだ。
情報を与えていない(または持っていない)状態でのインパクトと、情報の上で豊富に経験を持った上でのそれとは、まったく異なる。
情報提供者は、すでに自分達を知っている状態の他者を意識する必要があるが、期待は、常に良い意味で裏切られなければならない。
当サイトのメールマガジンでおなじみの、わが外食ドットビズ編集長について、触れさせていただく。
今回も多忙ななか、FS/TEC 視察ならびにラスベガス店舗視察ツアーをアテンドしていただいたのだが、実にバイタリティあふれる引率振りだった。
短い行程といえど、海外視察である。同行のお客様に対して第一に身の安全を保障しなければならない。
その重圧の中で、こんなに人を楽しませて良いものだろうか。
最終日を無事終えて、みなで集合。 2 名ほどまだきていないので尋ねたところ・・。
時間と場所は伝えましたが「来るとは聞いてません」。
このあと、無事全員集合。なにかあるたび 「 来るとは聞いてません 」 がしばらく流行った。
じゃあ、「アワード会場でメシでも喰いましょう」 と編集長。
訪れた「FS/TEC 2007 Technology Awards」会場だが、なんだか入り口でチェックが入り、どうやら有料のセッションで、事前登録が必要とのこと、チェックを無視し、率先して中に入ってしまった編集長 を呼び止め、ここ有料なんですって・・・との呼びかけに・・・。
「 もぉー、だまってさっさと入ってこなきゃだめだよ! 」
と逆切れ。
・・・ 一同、なんで逆切れされるのかわからないまま無言でたちすくんでいたところ、なぜか受付の女性が「いいよ」と通してくれた。
・・・ OFSC事務局の「顔」でしょうか、最後はなぜか通してくれました。不思議そうに状況を思案する一同。
さんざっぱらコンチネンタル形式の食事をいただいて、アワードを堪能。終了後、比較的空席の目立つ会場をあとにして、編集長のひとこと。
「 こんだけ空席があるんだから、素直に入れてくれてもいいじゃないですかねー。 」
・・・・ 一同 「 そ、そうですね。 」 ・・・ていうか 入りましたよね ・・。
それにしても当然のように 「 会場でメシ喰いましょう 」 と豪語していた編集長。
しびれます。
最終日(現地時間10月14日)、早朝タクシーでアトランタ国際空港へ。少々きつめのスケジュールで不安はあったが、1時間前に空港に到着。ここからシカゴでトランジットし、一路帰国の旅程である。
無事チェックインをすませ、安心しているさなか、わたしも初めての体験であるが、なんと、ツアーメンバー11人中6人を残して、飛行機が飛び立ってしまったのである。
私はまさにここで書いている以上、残された組であるが、登場口にさしかかったところで、無情にも扉が閉められ、本当に飛び立ってしまった。
航空会社のカウンターでチェックインしていても、飛行機は、飛ぶのです。
詳しい事情はいまだなぞなのであるが、どうやら後半の人員(私も含む)がセキュリティチェックで時間を取られている間、キャンセル待ちのお客様を通してしまったらしい。
オーバーブッキングというのは航空会社では常識的な感覚であり、先に来た人を乗せるのが当たり前で、満席になったらさっさと飛ぶ。チェックインすれば大丈夫などと思っていたわれわれが甘かった。
その後、この事件についてはいろいろな憶測がとびかったが、アトランタで仕入れたコカ・コーラのボトルが最大の要因ではないかということが一般的な意見となった。(アトランタにはジョージアの名前の通りコカ・コーラの本社および博物館がある。そこのおみやげである。)
本稿で紹介しきれなかったがワールドオブコカコーラ博物館。アトランタ名物。
そんな中でも我が編集長は少しもあわてず。
「 まあ、しょうがないっすね。メシ喰いましょう。 」
・・・・。 (一同)
乗り遅れたおかげでアトランタ空港内のバーガーキングでKIOSK端末の実働を確認。
なんといえば伝わるか、そのときの虚脱感というか、「まあどうにかなるさ」感は、乗り合わせたメンバーの人格にもよるだろう。
事情は複雑で、ここでは書ききれないが、要はこの航空会社のささいな(?)ミスのおかげで、約1名私だけがシカゴでのトランジットで再発券されず、異国に取り残されるところであった。
アトランタでおいてけぼり食わされた後続の6人も、なんだかんだと次の便に乗ることができ、無事シカゴで先発のメンバーと合流した。
シカゴでみなさんに合流したときはほんとにほっとしました。いや、ずっと編集長がいたので心から安心してたんですけどね。(笑)
オヘア空港は1年半ぶりであるが、相変わらず広い。
先発メンバーと合流し、トランジット。アトランタで搭乗券を失効したメンバーも、無事再発券をすませ、いざ搭乗という段階で、「ピンポーン」
・・・ なぜか私のチケットでアラート。
いやな予感がしたが、「チェックインカウンターへゆけ」との指示で、カウンターに届け出ると、「ああ、残念ながらあなたは乗れませんね」とのこと。
この時点で、乗れないのが私一人と判明し、さすがにあわてた。
「え?え?どーゆーこと?」と言ってる間に、さすがわが編集長。すかさずカウンターに割り込み、
「Together!!」
のちに名ゼリフとなってしまった彼の言葉が、私を救ってくれた。
結果的に、ボランティア的に「席を譲る」という形で、その日の宿泊費、食事代を航空会社に出してもらい、なぜか私を含む3名が、シカゴに居残りとなってしまった・・・。
ここでなぜか巻き添えを食ったフキガミさんに触れなければならない。
本当にいい人で、編集長とは、一昔前に先輩後輩の仲になるかもしれなかったという、 ただそれだけの理由で、旅の途中終始、われわれをサポートする役割を負う羽目になった。
アトランタのフキガミさん(左)。道中、本当に御世話になりました。
思えばこのころからいやな予感がしていたらしい。
本人にはまったく無許可でこの稿を書いているが、先の「Together!!」
の際に、なぜか英語の堪能なフキガミさんの目から視線をはずさない編集長。
United Air Lineカウンターで交渉する我が編集長。「 Together!! 」
本人の意思を全く無視した形でしぶしぶ居残ってもらったフキガミさんへの尊敬の念はいまだに消えない。
シカゴ居残りとなったわれわれは、フキガミさんに感謝しつつ、ダウンタウンまで日用品を買い求め(私の荷物が空港に留め置きとなってしまったため)、空港近くのウィンダムで一泊。
シカゴのダウンタウンは初めてというフキガミさんのため、(という理由をつけて)新しくできたメイシーズの視察を兼ねて、専門店外をぶらりと。
ここでも呪われた編集長はエレベーターに閉じ込められたりして、その宿命をいかんなく発揮していた。(もちろん私とフキガミさんも巻き添えである。)
閉じ込められたのは30~40分くらいであろうか。
途中、尿意を催した編集長 はその脱出劇の様子も含め相当面白い状況に陥っていたが、画像もなく、その面白さが伝えられないのが残念である。
その後、無事ホテルの部屋へ戻り、ようやくリラックスした編集長と歓談しつつ、シカゴの夜は更けた。
翌日、無事に成田行きの便へ登場することができた。
成田で。早速メールをチェックする編集長。
ちなみに着ている服は 「 さむい 」 とシカゴで購入したトレーナー。
なにはともあれ、本当にお疲れ様でした。
なんだかこのように書くと、悪口を書いているようであるが、さまざまな状況のなかでも動じず、目的を達成してしまう編集長の意思の力には本当に感服している。
多くの写真や記事の根拠は、またもやOFSC事務局の多大な協力を得た。非常に得るものが多い旅であった。
このあたりでアトランタこぼれ話は終了。アトランタの前に訪れたラスベガス店舗視察記を同時に連載中なので、引き続きお楽しみいただければ幸いである。
福本龍太郎の米国店舗視察 ラスベガス発 ~成長する砂漠のホスピタリティ~ :
https://gaisyoku.biz/article/feature/store2007/651/
福本 龍太郎
国内コンピュータ販社にて流通小売業界向けSI事業部門を担当し、外食店舗店舗システムにも関わる。
現在は有限会社ノーデックス代表取締役。
ネットビジネス黎明期より各種サービスプロバイダを経験し、業務システムへのネット技術の応用・普及につとめる。
有限会社ノーデックス 代表取締役
文: 福本龍太郎